質問主意書

第190回国会(常会)

答弁書


答弁書第五六号

内閣参質一九〇第五六号
  平成二十八年二月二十六日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員藤末健三君提出子どもの医療費自己負担額の格差是正に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員藤末健三君提出子どもの医療費自己負担額の格差是正に関する質問に対する答弁書

一について

 医療費の一部負担金等は、医療を受ける者と受けない者との公平を確保するとともに、適正な受診を促す観点から求めているものであるが、地方公共団体が地方単独事業により自己負担の軽減を図ることについては、各地方公共団体において、地域の実情を踏まえて判断しているものであると考えている。

二及び五について

 国民健康保険制度では、国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)第七十条の規定による療養給付費等負担金(以下「療養給付費等負担金」という。)については療養の給付等に要する費用等に応じて算定した額を、また、同法第七十二条の規定による調整交付金(以下「調整交付金」という。)については、療養の給付等に要する費用等及び被保険者に係る所得等に応じて算定した額を、それぞれ市町村(特別区を含む。以下同じ。)に対して交付することとされている。地方単独事業による子どもの医療費の一部負担金の軽減等を含め、市町村が負担軽減措置を講ずる場合には、一般的には、当該措置を講じない場合に比べて療養の給付等に要する費用が増加し、これに伴い療養給付費等負担金及び調整交付金(以下「国庫負担金等」という。)の額も増加することになるため、限られた財源を公平に配分する観点から、当該措置を講ずる市町村に対して交付する国庫負担金等の額が、当該措置を講じない市町村に対して交付する国庫負担金等の額と同等になるように調整措置を講ずることとされている。
 この調整措置については、地方公共団体等から見直しの要望もあることから、現行制度の趣旨を考慮しながら、その在り方を検討していく必要があるものと認識しており、現在、厚生労働省の「子どもの医療制度の在り方等に関する検討会」(以下「検討会」という。)において、この調整措置の在り方も含めた子どもの医療の在り方について、幅広い観点から議論が行われているところであり、本年春頃をめどに一定の取りまとめを行う予定である。
 また、お尋ねの「検討結果等を踏まえた対応策の実施時期」については、現在、検討会において議論が行われているところであるため、お答えすることは困難である。

三について

 政府としては、地域の実情に応じ、少子化対策、子どもの貧困対策等として子どもの医療費の一部負担金の軽減等を実施している地方公共団体もあると承知しており、一般的には、子どもの医療費の一部負担金の軽減等は、子育て家庭の経済的負担の軽減につながるものと考えている。

四について

 政府としては、子どもの医療費については、子どもが病気になっても安心して医療を受けることができるよう、公的医療保険制度において通常は三割である医療費の自己負担割合を義務教育就学前の子どもについては二割としているほか、児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第十九条の二の規定に基づく小児慢性特定疾病児童等に係る医療費支給認定保護者に対する小児慢性特定疾病医療費の支給、母子保健法(昭和四十年法律第百四十一号)第二十条の規定に基づく未熟児に対する養育医療の給付等の制度を設けているところである。
 これらの施策に加え、国の財政負担により子どもの医療費の一部負担金等を一律に軽減することについては、厳しい財政状況の下、他の子ども・子育て関連施策との均衡等を勘案すると、課題が多く慎重な検討が必要と考えている。