質問主意書

第190回国会(常会)

答弁書


答弁書第四四号

内閣参質一九〇第四四号
  平成二十八年二月十六日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員有田芳生君提出「北朝鮮当局による拉致問題等」の人権教育・啓発活動に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員有田芳生君提出「北朝鮮当局による拉致問題等」の人権教育・啓発活動に関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の「朝鮮学校」における人権教育・啓発の取組については把握していないが、政府としては、平成二十五年度に、「朝鮮学校」を含む各種学校全部に、拉致問題啓発ポスターが配布及び掲出されるよう、都道府県に対し依頼をしている。

二について

 文部科学省では、「人権教育・啓発に関する基本計画」(平成十四年三月十五日閣議決定。以下「基本計画」という。)において、「学校教育においては、児童生徒の発達段階等に応じて、拉致問題等に対する理解を深めるための取組を推進する」とされていることを踏まえ、全都道府県教育委員会等の人権教育担当者を集めた会議等各種の機会を通じ、各都道府県教育委員会等に対し、基本計画の趣旨を説明すること等により、基本計画に定めた学校教育における取組を推進している。
 また、お尋ねの「文書」について網羅的にお答えすることは困難であるが、平成二十五年七月三日に、拉致問題担当大臣と文部科学大臣の連名で、各都道府県教育委員会等に対し、北朝鮮当局による拉致問題に関する映像作品の活用促進について周知する文書を発出するなどの取組を行ってきたところである。

三について

 御指摘の「人権啓発活動地方委託事業」として実施した個々の人権啓発活動が御指摘の「北朝鮮当局による拉致問題等」に係るものに該当するか否かについては、調査に膨大な作業を要することから、お答えすることは困難である。

四及び五について

 御指摘の「予算の一部を振り分ける」及び「別枠」の意味するところが必ずしも明らかではないが、北朝鮮当局による拉致問題は、我が国の主権及び国民の生命と安全に関わる重大な問題であるとの認識の下、政府は、拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律(平成十八年法律第九十六号)に基づく「国民世論の啓発」として、国民の間に広く拉致問題についての関心と認識を深めるための取組を積極的に推進している。これに対して、法務省が所管する「人権啓発活動地方委託事業」は、人権尊重思想の普及高揚を図り、地域住民に人権問題に対する正しい認識を広めることにより、基本的人権の擁護に資することを目的として各種の人権啓発活動を地方公共団体に対して委託するものであり、両者の趣旨・目的が異なることに鑑みると、両者は「統合」にはなじまず、また、「全国の地方自治体が「北朝鮮当局による拉致問題等」に係る啓発活動を行おうとする場合には、原則全ての事業を「人権啓発活動地方委託事業」の一つとして採用すること」もできないと考える。