質問主意書

第190回国会(常会)

答弁書


答弁書第二三号

内閣参質一九〇第二三号
  平成二十八年二月二日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員藤末健三君提出選挙権年齢引下げに伴う政府の対応に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員藤末健三君提出選挙権年齢引下げに伴う政府の対応に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 御指摘の「主権者教育」については、御指摘の「学校教育を中心とした「主権者教育」確立のための政策提言」を含む各種の提言等も参考にしつつ検討を行い、例えば、政治や選挙等に関する高等学校等の生徒向けの補助教材である「私たちが拓く日本の未来 有権者として求められる力を身に付けるために」(以下「補助教材」という。)及びその活用のための指導資料である「私たちが拓く日本の未来 有権者として求められる力を身に付けるために 活用のための指導資料」(以下「指導資料」という。)の作成及び配布や「高等学校等における政治的教養の教育と高等学校等の生徒による政治的活動等について」(平成二十七年十月二十九日付け二七文科初第九三三号文部科学省初等中等教育局長通知。以下「通知」という。)の発出等の対応を行ったところである。
 通知では、各都道府県教育委員会等に対し、「高等学校等においては(中略)習得した知識を活用し、主体的な選択・判断を行い、他者と協働しながら様々な課題を解決していくという国家・社会の形成者としての資質や能力を育むことが・・・求められ」ること等を踏まえ、「校長を中心に学校として指導のねらいを明確にし、系統的、計画的な指導計画を立てて実施すること」や、「現実の具体的な政治的事象も取り扱い、生徒が有権者として自らの判断で権利を行使することができるよう、より一層具体的かつ実践的な指導を行うこと」、「現実の政治を素材とした実践的な教育活動をより一層充実させるとともに、高等学校等の生徒による政治的活動等に関して指導するに当たっては、学校としての方針を保護者やPTA等に十分説明し、共有すること等を通じ、家庭や地域の関係団体等との連携・協力を図ること」等の留意事項等を示したところである。
 また、御指摘の「ガイドラインの策定」については、文部科学省としては、教育委員会や高等学校の関係者、高等学校の生徒の保護者の代表者等から意見の聴取を行った上で指導資料や通知を作成し、これらの文書において、教育基本法(平成十八年法律第百二十号)第十四条第二項の規定に基づく政治的中立性の確保など政治的教養を育む教育の推進に当たっての留意点等を示しているところである。

三について

 お尋ねについては、文部科学省としては、今後、高等学校等における補助教材等の活用状況や政治的教養を育む教育の実施状況について調査を行い、その結果を踏まえ、高等学校等における政治的教養を育む教育の更なる充実に取り組んでまいりたい。

四について

 学習指導要領の改訂については、現在、中央教育審議会において審議がなされているところであり、平成二十七年八月には、中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会教育課程企画特別部会において、「教育課程企画特別部会 論点整理」(以下「論点整理」という。)が取りまとめられたところである。論点整理においては、これからの時代には、「国家及び社会の形成者として必要な知識や思考力等を基盤として選択・判断等を行い、課題を解決していくために必要な力・・・を、全ての高校生に共通に育んでいくことが求められる」ことを踏まえ、例えば、高等学校の公民科において、「主体的な社会参画に必要な力を、人間としての在り方生き方の考察と関わらせながら実践的に育む科目「公共(仮称)」の設置を検討すること」が示されており、教育課程部会の下に置かれた「高等学校の地歴・公民科科目の在り方に関する特別チーム」等において、専門的な観点から更なる検討が進められている。