質問主意書

第190回国会(常会)

答弁書


答弁書第一七号

内閣参質一九〇第一七号
  平成二十八年一月二十九日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員相原久美子君提出国家戦略特別区域における医学部新設に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員相原久美子君提出国家戦略特別区域における医学部新設に関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の千葉県成田市における説明資料「国家戦略特区における医学部新設について」(平成二十七年九月二十七日成田市企画政策部国家戦略特区推進課)において、地域医療に関する同市の見解が示されていることは承知しているが、御指摘の「国家戦略特別区域における医学部新設に関する方針」(平成二十七年七月三十一日内閣府・文部科学省・厚生労働省決定。以下「方針」という。)は、東京圏国家戦略特別区域会議成田市分科会(以下「成田市分科会」という。)における議論を踏まえ、国内外の優れた医師を集め、最高水準の医療を提供できる、世界最高水準の「国際医療拠点」をつくるという国家戦略特区の趣旨を踏まえた、国際的な医療人材の育成のための医学部新設の方針として定めたものであり、この方針に掲げる医学部新設の目的について、政府と同市との間で認識は一致していると考えている。

二について

 成田市分科会においては、医療分野におけるイノベーションの創出を担う国際的な医療人材を育成するという観点から、内閣府、千葉県成田市及び民間事業者の三者に加え、国家戦略特区ワーキンググループの民間有識者を構成員とし、文部科学省、厚生労働省及び千葉県をオブザーバーとして、医学部新設に係る検討を行ってきたものであり、その過程では、地域医療や医学教育に知見を有する専門家からも意見を聴取するなど、慎重かつ適切に検討を重ねてきたものである。

三について

 千葉県成田市における医師の養成に係る大学の設置は、国家戦略特別区域法(平成二十五年法律第百七号)第二条第二項第一号の特定事業として、規制の特例措置の適用を受けるものであり、財政上の支援を行うことは予定しておらず、御指摘のような措置は検討していない。

四について

 内閣府、文部科学省及び厚生労働省としては、方針の留意点において、「医学部新設及び附属病院設置のための教員や医師、看護師の確保に際し、引き抜き等により地域医療に支障を来さないような方策を講じること」としており、千葉県成田市における医師の養成に係る大学の設置を実施すると見込まれる者である学校法人国際医療福祉大学の当該留意点への対応状況については、平成二十七年十一月二十日に、地域医療に知見を有する専門家の意見を聴取した上で、確認を行ったところである。
 また、厚生労働省としては、当該留意点の重要性に鑑み、同月二十六日に開催された国家戦略特別区域会議合同会議において、同省から事業の実施主体である同大学に対し、同大学の教員への応募については、海外からの応募の場合を除いて、応募者の所属機関に対し、応募者が同大学へ転出することで当該所属機関の医療活動に与える影響がない旨の書面の提出を求めること及び同大学の教員等の確保が地域医療に与える影響について検証及び評価を行うことを要請したところであり、当該留意点への対応状況について、引き続き注視していく考えである。