質問主意書

第190回国会(常会)

答弁書


答弁書第一五号

内閣参質一九〇第一五号
  平成二十八年一月二十二日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員大久保勉君提出完全自動走行に向けた国家戦略特区プロジェクトに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員大久保勉君提出完全自動走行に向けた国家戦略特区プロジェクトに関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「実験開始時期」については、神奈川県湘南地区において平成二十八年二月に、仙台市荒浜地区において平成二十七年度末までに、それぞれ開始される予定であると承知しており、名古屋市における開始時期は把握していない。なお、お尋ねの「実験地区の詳細」については、その意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難である。
 また、お尋ねの「他地域での実験」については、把握していない。

二について

 お尋ねの「実験担当者」のうち運転者席に乗車している者については、実証実験のための車両の運転操作の一部を自動走行システムに委ねているが、自動走行システムが安全に作動しているか確認し、必要に応じて、自ら運転操作をすべき立場にあると承知しており、道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第二条第一項第十八号に規定する「運転者」及び道路交通に関する条約(昭和三十九年条約第十七号)第四条に規定する「運転者」に該当するものと解している。

三について

 御指摘の「運転者によるオーバーライドが可能であり、又は機能を停止できる」自動走行システムを有する車両について、運転者が、当該車両を適正に操縦するとともに、当該車両の速度を制御し、また、適切かつ慎重な方法で運転するときは、道路交通に関する条約第八条5及び第十条の規定に整合的であると考えている。

四について

 二について及び三についてで述べたとおり、今回の実証実験は、道路交通法及び道路交通に関する条約に従って行われるものである。

五及び六について

 国家戦略特別区域内における実証実験であるか否かにかかわらず、自動走行システムに関する実証実験において交通事故が発生した場合の民事上の責任については、自動車損害賠償保障法(昭和三十年法律第九十七号)等が適用され、原則として同法第三条の自己のために自動車を運行の用に供する者が損害を賠償する責任を負うものと考えられる。
 また、当該者以外の者の責任については、故意又は過失の有無等、個別具体的な事情により判断されるものであり、一概にお答えすることは困難である。

七について

 御指摘のロボットタクシー株式会社が作成した資料において、「レベル四の公道サービス開始時期について、東京オリンピック・パラリンピックを目標としている」旨が表されているかについては、政府として把握していない。

八について

 お尋ねの「官民ITS構想・ロードマップ二〇一五」(平成二十七年六月三十日高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部決定)における「市場化期待時期」とは、自動走行システムの市場化に関して官民が各種施策を取り組むに当たって共有する共通の努力目標の時期を意味し、「ショーケース」とは、世界最先端の高度道路交通システム(ITS)を海外に対して示す機会とすることを意味している。
 また、御指摘の記述は、自動走行システムの実用化・実証を含む高度道路交通システム全般について述べたものであるが、今回の実証実験の結果そのものを想定して記載されたものではない。