質問主意書

第190回国会(常会)

質問主意書


質問第一五五号

日本郵便株式会社が行う貨物運送事業に対する優遇措置の是正に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十八年六月一日

松沢 成文   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   日本郵便株式会社が行う貨物運送事業に対する優遇措置の是正に関する質問主意書

 民自公三党合意のもと二〇一二年四月に「郵政民営化法等の一部を改正する等の法律」が成立した。これにより「郵便事業株式会社」と「郵便局株式会社」が合併して「日本郵便株式会社」が誕生し、「日本郵便株式会社」、「株式会社ゆうちょ銀行」、「株式会社かんぽ生命保険」、「日本郵政株式会社」の四社からなる新たな「日本郵政グループ」が生まれた。
 日本郵便株式会社には、日本郵政グループ内での資金補填や官業時代の優遇措置が残っている。これは市場の公平な競争を妨げ、不当に民間企業の経営を圧迫するものである。
 そこで以下質問をする。

一 道路交通規制の免除について

 二〇〇六年六月に道路交通法が改正され、駐車違反に対する取り締まりが強化されている。これにより民間のトラック事業者の集配車両は、集配時における駐車方法などについて大幅な見直しを余儀なくされている。これに対して日本郵便株式会社の集配車両は、原則道路交通法が適用されることとなっているが、郵便物の集配を行っていることにより、各都道府県の道路交通規則では駐車禁止区域での駐車が道路交通法の適用除外となっている。
 イコールフッティングが確保されるよう、民間のトラック事業者においても駐車に関しては同様な規制免除を実施すべきであると考えるが、どうか。

二 通関手続きの優遇措置について

 内容物が二十万円未満のEMS(国際スピード郵便)は、民間業者の国際宅配便と直接競合している。通関業務は通常、発送事業者が行うことになっているが、EMSは郵便物として扱われるため、通関業務を税関職員が行っており、民間に比べ大幅に経費が低くなっている。このため、EMSは価格面でも民間の五十%から六十%程度の低価格で利用されている。また、通関に掛かる時間も短く、さらに関税の事後納付が認められているため、民間より迅速・簡略・低コストで通関できている。民間業者の国際宅配便も同様な扱いとすべきであると考えるが、どうか。

三 料金の割引について

 健全な経営を確保するためには、輸送はもとより労働・安全・環境コストを反映した適正な料金の収受が不可欠である。しかし、業界では規制緩和以降、料金水準は下落傾向が続き、現在においても厳しい状態が続いている。一方、日本郵便株式会社は、日本郵政グループ内での資金補填を行えるため、倒産しない会社といえる。
 その中で、日本郵便株式会社は、ゆうパックやゆうメール等、大口荷主には料金の割引を行い、業界の料金水準を引き下げていると言わざるを得ない。公平な競争が行えるよう、さまざまなコストを考慮した適正料金を設定するよう日本郵便株式会社に促すべきであると考えるが、どうか。

四 ユニバーサルサービスとされる「郵便業務」が税制優遇を受けられるのは理解するが、ユニバーサルサービスとされない「貨物運送事業」のゆうパック、ゆうメール、ゆうパケット、ポスパケットは現在、郵便業務と混在して業務が行われている。ユニバーサルサービスとされない「貨物運送事業」を明確に郵便業務から区別・分離するよう促すべきであると考えるが、どうか。

  右質問する。