質問主意書

第190回国会(常会)

質問主意書


質問第一二八号

タックスヘイブンに対する国際社会と連携した監視・規制に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十八年五月二十六日

藤末 健三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   タックスヘイブンに対する国際社会と連携した監視・規制に関する質問主意書

 いわゆる「パナマ文書」の流出元となった中米パナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」では、一日当たり百件ものペーパーカンパニー設立や銀行口座開設を行っていたとされている。同文書には日本人や日本企業の名前が記載されており、租税回避についての疑念が持たれている。
 また、アメリカの国際税務の専門家によれば、世界のタックスヘイブンには日本、アメリカ及び中国の国内総生産の合計に相当する三十兆ドルもの資金が蓄積されていると試算されている。
 伊勢志摩サミットにおいては、国際的な課税逃れ対策についても主要議題となる見通しが示されている中、以下の点について質問する。

一 モサック・フォンセカはパナマの一法律事務所にすぎず、同様の業務を行う法人はほかにも多数あると考えられる。また、タックスヘイブンはパナマだけではない。こうしたタックスヘイブンや租税回避を指南するモサック・フォンセカ同様の業務を行う法人について、政府は現状をどのように認識しているのか説明されたい。

二 これまでOECDを始めタックスヘイブン対策を行ってきたが、功を奏しているとは言い難い。政府として何が問題であったと認識しているのか。また、今回のパナマ文書の問題を受け、今後更なる実効性ある具体策を講ずるべきである。タックスヘイブンの状況を正確に把握し、適切に管理するためには、各国政府が連携し、情報交換することが重要であり、伊勢志摩サミットを始め国際会議等の場において、日本がイニシアティブをとってこうした提案をしていくべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

三 タックスヘイブンにおける法人設立や口座開設は一日当たり二万件と推定されており、この大半はインターネット上でのものと言われている。こうしたタックスヘイブンにおけるインターネット上での法人設立・口座開設の現状について、政府の把握状況を明らかにされたい。

四 政府は、インターネット上での法人設立・口座開設の監視を含め、タックスヘイブンにおける法人設立・口座開設なども併せて規制していく必要があると考えるが、政府の見解を示されたい。

五 インターネット上には、香港企業がオフショア会社設立を手助けするとして「日本で会社を経営されている方は、オフショアの法人を持つことで「合法的に」、しかも、日本でやるよりも大幅な「節税」が期待できます。」、「弊社は、経費の節減させる法人からキャピタルゲインの受け皿としての法人まで皆様のニーズに合わせたプランをご用意させて頂いております。」との広告を出している。このような広告を掲げる会社について、他国の政府と連携し、監視・規制するような取組はできないのか、政府の見解を示されたい。

  右質問する。