質問主意書

第190回国会(常会)

質問主意書


質問第九一号

日朝ストックホルム合意と菅内閣官房長官記者会見に関する再質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十八年三月二十四日

有田 芳生   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   日朝ストックホルム合意と菅内閣官房長官記者会見に関する再質問主意書

 私が平成二十八年三月七日付けで提出した「日朝ストックホルム合意と菅内閣官房長官記者会見に関する質問主意書」(第百九十回国会質問第七四号、以下「この質問書」とする)に対する、政府の答弁書(内閣参質一九〇第七四号、以下「この答弁書」とする)の内容について何点か疑義がありますので、再度質問いたします。

一 この答弁書一、二及び五についてで、政府は「御指摘の菅内閣官房長官の発言における「拉致の疑いが排除されない行方不明の方々」は、(中略)御指摘の「北朝鮮による拉致の可能性を排除できない者」と必ずしも一致するものではない」と答えています。
 一方、平成二十五年一月二十五日決定の「拉致問題の解決に向けた方針と具体的施策」には、「拉致の可能性を排除できない事案」とあります。
 この「拉致の疑いが排除されない行方不明の方々」、「北朝鮮による拉致の可能性を排除できない者」、「拉致の可能性を排除できない事案」の三者は何処がどう違うのか、その相違点について明確にお答え下さい。

二 この答弁書一、二及び五についてで、政府は「これ以上の詳細については、今後の対応に支障を来すおそれがあることから、お答えを差し控えたい」と答えています。菅内閣官房長官は「拉致問題は、安倍内閣にとって最重要課題である」と記者会見で繰り返し述べています。この最重要課題を完全解決する上で、主権者たる国民に明確な説明を行い、国民の知る権利を守ることで国民の理解を深めることが重要であると考えるものですが、政府の見解は私と異なっていますか、お答え下さい。
 また、政府が国民の知る権利を守ることよりも答えを差し控えることの方を優先させるのは、拉致問題の解決のために国民が知るべき情報の隠蔽に当たらないのですか、その点についても政府の見解をお示し下さい。

三 この質問書二において、私が「菅内閣官房長官のいう、一九四五年前後に北朝鮮域内で死亡した日本人の遺骨及び墓地、残留日本人、いわゆる日本人配偶者、拉致被害者及び拉致の疑いが排除されない行方不明者について、それぞれの定義を明確にお示し下さい」と質問したところ、政府は「御指摘のいわゆる「日朝ストックホルム合意」に記載された内容を説明したものである」と答弁し、それぞれの定義について明確に答弁していません。
 菅内閣官房長官の会見内容に関係なく、日朝ストックホルム合意にある「一九四五年前後に北朝鮮域内で死亡した日本人の遺骨及び墓地、残留日本人、いわゆる日本人配偶者、拉致被害者及び行方不明者」について、その定義が何であるかを再度質問いたします。

四 この質問書三において、私は「安倍政権にとって拉致問題が最優先」だと菅内閣官房長官が記者会見で繰り返し述べていることを指摘し、なぜ拉致問題以外の問題に言及がないのかを質問しました。これに対して、政府はこの答弁書三及び四についてで「政府としては、拉致問題をはじめとする日本人に関する全ての問題の解決に全力を尽くしている」と答え、拉致問題が最優先とは答弁していません。これからすると、これまで菅内閣官房長官が記者会見で繰り返し述べられた「安倍政権にとって拉致問題が最優先」との内容は政府の方針を逸脱した発言であり、政府としては日本人に関する全ての問題に優先順位をつけず公平な解決を目指すものと理解してよろしいですか。

  右質問する。