質問主意書

第190回国会(常会)

質問主意書


質問第八三号

自衛隊員のリスクについての政府統一見解に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十八年三月十日

藤末 健三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   自衛隊員のリスクについての政府統一見解に関する質問主意書

 内閣官房が平成二十七年七月八日付で衆議院我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会に提出した政府統一見解「自衛隊員のリスクについて」では、「我が国有事に加え、PKOや災害派遣など、これまでの任務においても、自衛隊員は、限界に近いリスクを負っている。法制の整備によって付与される新たな任務も、従来どおり、リスクがあるものである。そのため、法制の中で、隊員のリスクを極小化するための措置を規定している。また、新たな任務が付与されれば、自衛隊員は、必要な専門知識を養い、厳しい訓練を行い、危険な任務遂行のリスクを、可能な限り軽減する。さらに、実際の派遣の際には、現地の実情に応じた、正確なリスク分析の下、入念な準備と安全確保対策を講じる。これら法制面及び教育訓練を含む運用面の取組により、隊員の安全の確保に万全を尽くしていく。」との政府の認識が示されている。
 その一方、「我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律(平成二十七年法律第七十六号)」及び「国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律(平成二十七年法律第七十七号)」(以下「平和安全法制」という。)に基づく初任務は、国連PKO等に参加中の自衛隊の施設部隊等が、離れた場所で武装勢力等に襲われた他国軍隊の部隊の要員やNGO職員等を要請に応じて保護するという、いわゆる「駆け付け警護」であり、同任務は、国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)に派遣中の自衛隊の部隊等に対し、平成二十八年秋以降に付与される見通しであるとの報道もなされている。
 新たな任務に伴う新しいリスクを自衛隊員に課すこととなる平和安全法制の運用開始が迫る中、海外に派遣される自衛隊員の安全に対する国民の関心が高まっていることから、自衛隊員のリスクに関する前記の政府統一見解について、以下質問する。

一 「法制の中で、隊員のリスクを極小化するための措置を規定している」とあるが、具体的にどの法律のどの規定がこれに該当するのか、明確にされたい。

二 「自衛隊員は、必要な専門知識を養い」とあるが、どのように必要な専門知識を養うのか。

三 「自衛隊員は、(中略)厳しい訓練を行い、危険な任務遂行のリスクを、可能な限り軽減する」とあるが、どのような訓練を行うのか。また、平成二十八年度予算政府案に、かかる訓練の経費は計上されているのか。

四 「実際の派遣の際には、現地の実情に応じた、正確なリスク分析の下、入念な準備と安全確保対策を講じる」とあるが、具体的にどのようなリスク分析や準備、安全確保対策を行うのか、明確にされたい。

  右質問する。