質問主意書

第190回国会(常会)

質問主意書


質問第七六号

災害対策としての緊急事態条項全般に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十八年三月九日

蓮 舫   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   災害対策としての緊急事態条項全般に関する質問主意書

一 中央防災会議に平成二十三年に設置された防災対策推進検討会議の提言に基づく政府による法改正は全て終わっている、積み残しはない、という認識でよいか。もし積み残しがあるのであれば、今後予定されている法改正の内容等を明らかにされたい。

二 東日本大震災の直後、ガソリン不足が発生したところ、ガソリン不足により、例えば救急車などの緊急車両が出動できなかったという事実はあるか。

三 東日本大震災の直後、ガソリン不足が発生したところ、この教訓を踏まえて既にとられた対策の概要(法制度上の対策と備蓄や運搬等の対策)を明らかにされたい。

四 東日本大震災の直後、岩手県、宮城県及び福島県において、道路上に車両等が置かれていたため避難所等に救援物資等を運ぶことができなかった、あるいは支障が生じたという事例はあるか。あったとすればその事例の内容とその後とられた対策の状況を明らかにされたい。

五 東日本大震災のように、今後、大規模な自然災害と原子力発電所の事故が同時に発生した場合、政府の指示系統等は混乱なく機能するのか。政府の認識を東日本大震災後にとられた対策を含めて明らかにされたい。

六 災害法制には様々な「罰則」が定められているところ、東日本大震災において、当該罰則に基づき逮捕等がなされたことはあるか。あったとすれば具体的な事例等を明らかにされたい。

七 災害法制には、例えば災害対策基本法第六十四条第一項や第六十五条第一項のように、強い権限が定められているところ、東日本大震災において、各条項に基づき任意の協力を求め同意を得る限度を超え、実際に権限が行使されたことはあるか。あったとすれば具体的な事例等を明らかにされたい。

八 前記七の権限が適正に行使されなかった結果、何らかの実害等が発生した事例の有無及びその内容を明らかにされたい。

九 東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故後、物資の運搬を行う運転手等が放射線等による影響を懸念した結果、同原子力発電所を含む周辺地域等への物資の運搬等が円滑に行えなかったという事例の有無及びその概要を明らかにされたい。また、この教訓を踏まえて震災後にとられた対策、積み残しの有無及び今後予定されている法改正がある場合はその内容等を明らかにされたい。

十 既に三千人を超える震災関連死が認められているところ、政府による、震災関連死の原因調査の状況を明らかにされたい。また、今後予定されている調査の有無及びその内容も明らかにされたい。更に各自治体でばらつきのある災害弔慰金の支給状況も明らかにされたい。

十一 震災関連死の事例を集約・分析することにより、当時の対応の不十分であった部分や今後の防災、減災及び被災者支援施策の教訓が明らかになる可能性があると指摘されているところ、今後の防災対策等に資するため、政府が震災関連死の事例を集約・分析調査等したことはあるか。また、今後予定されているか。ある場合及び予定されている場合は匿名化による公表の予定の有無も明らかにされたい。

十二 東日本大震災発生日から同年五月十日までの二ヶ月間において、政府が、被災者の命や生活等を守るために早急に必要だと判断した法律の制定ないし法律の改正が、国会審議の結果実現できなかったことはあるか。あったとすればその内容を明らかにされたい。

十三 東日本大震災発生日から同年五月十日までの二ヶ月間において、自由民主党が、被災者の命と生活等を守るために早急に必要だと提案した法律の制定ないし法律の改正が、国会審議の結果実現できなかったことはあるか、政府の承知するところを示されたい。また、あったとすればその内容を明らかにされたい。

十四 政府が「オールハザード」として列挙している事態、すなわち①自然災害、大規模な火事・事故等、②原子力災害、③新型インフルエンザ等、④武力攻撃事態について、平成二十七年十一月十三日にフランス、パリで発生したようなテロは、この分類のどれに該当するのか、または、どれにも該当しないのか、明らかにされたい。

  右質問する。