質問主意書

第190回国会(常会)

質問主意書


質問第七一号

基準違反の疑いのある「機能性表示食品」の販売問題等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十八年三月三日

福島 みずほ   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   基準違反の疑いのある「機能性表示食品」の販売問題等に関する質問主意書

 消費者庁公式ホームページにおいて公開されている、三ヶ日みかんの「販売しようとする機能性表示食品の科学的根拠等に関する基本情報(一般消費者向け)」には、「表示しようとする機能性」として、「本品には、β-クリプトキサンチンが含まれています。β-クリプトキサンチンは骨代謝のはたらきを助けることにより、骨の健康に役立つことが報告されています。」と記載されており、また、「当該製品の機能性に関する届出者の評価」として、「β-クリプトキサンチンを1日0・3~6mg、2~3ヶ月摂取することで、骨代謝マーカーの変化(骨形成マーカーの上昇と骨吸収マーカーの低下)が確認された。」という機能を発揮するための当該食品の摂取期間に関することが記載されている。しかし、今回消費者から「食の安全・監視市民委員会」に寄せられた情報では、ある店の店頭ポップに、「機能性表示食品 三ヶ日みかんには骨の健康に役立つβ-クリプトサンが含まれています」と、機能性関与成分名が不正確に表示されていた。
 一方、消費者庁が二〇一五年十一月二十四日に公表した「生鮮の機能性表示食品の広告等に関するQ&A」内で、「Q2 箱詰めされた生鮮の機能性表示食品をばら売りしたり、袋詰めし直して販売しても問題とはなりませんか。」との質問に対し、「機能性表示食品は、食品表示法に基づく食品表示基準において、容器包装に入れて販売するものとされており、容器包装に入れずにばら売りすることは認められません。そのため、容器包装に入れずに、店頭ポップ等に機能性表示食品と表示して販売した場合には、食品表示基準に違反することになります。また、機能性表示食品を販売する際は、表示見本として消費者庁に届出された容器包装を使用する必要があります。そのため、届出されていない袋などの容器包装に詰め直し、機能性表示食品として販売することは、食品表示基準に違反することになります。」と記載がある。
 しかし今回判明した機能性表示食品の販売実態では、消費者庁に届出されていない透明な袋で何の表示もなく販売されており、そもそも機能性表示みかんであるかどうかも不明な状態であった。なお、事業者側との話し合いにおいて、消費者庁からは問い合わせすらなかったことが判明している。
 右の点を踏まえて、以下質問する。

一 このような販売実態は、食品表示基準に違反すると考えられるが、いかがか。また、このような事例に対して、指導監視の徹底をすべきだと考えるが、どう対処するのか。

二 消費者庁は、国の消費者行政の機能と指令及び、国民の安心・安全を確保するために危機管理機能を果たす役割を担っている。これらの機能を果たすためにも、消費者庁は、消費者団体や市民団体と緊密かつ適切なコミュニケーションを図るべきだと考える。
 しかし、機能性表示食品制度について、文書にて質問を行った「食の安全・監視市民委員会」に対して、消費者庁の男性職員は、個別の案件や個別ではない食品表示行政のあり方に関する質問を、「文書でも口頭でも一切回答しないことにしています。もちろん、消費者からの情報提供を受けて調査した結果、法律に触れるような問題が確認できれば、公表しますし、法律にのっとった対処をします。しかし、そうでなければ基本的に公表はしないし、情報提供者にも回答しません。また万一その情報が間違いだった場合、調査をするだけで風評被害が発生するおそれがあります。」と、電話で回答した。
 このような消費者庁の対応は、食品安全行政の推進に協力を申し出ている消費者団体の活動に非協力的で、なおかつ、消費者団体の情報は間違いの可能性があり、事業者の行為は違反ではないことを頑なに信じ、コミュニケーションを拒否しているように見受けられる。また、このような対応では、行政と消費者の橋渡しを行う消費者団体等との連携が図られなくなり、結果として国の消費者行政の機能と指令及び、国民の安心・安全を確保するための危機管理機能や食品安全行政、食品表示行政の機能が果たされないこととなると思うが、どうか。

  右質問する。