質問主意書

第190回国会(常会)

質問主意書


質問第六六号

通訳案内士の法的地位に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十八年二月二十九日

有田 芳生   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   通訳案内士の法的地位に関する質問主意書

 通訳案内士の法的地位を不安定にする動きがあるので質問します。

一 内閣府の規制改革会議が本年一月二十八日に会議を開き、通訳案内士の業務独占は問題であると弁護士が提言しました。政府は、通訳案内士の業務独占に問題があると認識していますか。また規制改革会議が通訳案内士の業務について議論した意図はどこにありますか、その経緯と理由をお示し下さい。

二 観光庁の統計では、二〇一四年の就業が年間三十日以下の通訳案内士は、五十パーセント強、年収二百万円未満の通訳案内士は、五十七パーセント強とあります。政府は、通訳案内士の就業状況をどう認識していますか、ここ十年間の就業状況を年度別にお示し下さい。

三 近年、中国からの訪日観光客の増加により、数千名の観光客が大型クルーズ船で来日するケースが多くなりました。これら多数の観光客に対して、大手の旅行会社などが、日常的に無資格通訳案内士を雇用しているようですが、政府は、実態を把握していますか。また、今後、どのように対応するつもりですか。

四 政府は、無資格通訳案内士の実態をどのように把握していますか。またそれは許されることと認識されていますか、この二つの問題について具体的にお示し下さい。

五 通訳案内士法第三十六条に「通訳案内士でない者は、報酬を得て、通訳案内を業として行つてはならない」とあり、これに違反した者は、「五十万円以下の罰金に処する」(同法第四十条)とあります。しかし、多数の無資格通訳案内士が存在しているにもかかわらず、通訳案内士法施行以来、ただの一人も本法律により摘発されたこともなければ、罰金に処せられたこともありません。政府は、このことについてどのように考えているのですか。今後、無資格通訳案内士を取り締まるつもりはあるのですか。

六 政府は、無資格通訳案内士を使って観光客を安価な商品を高額で販売するなどの悪徳店に連れて行くランドオペレーターの実態をどのように把握していますか、また摘発したケースはどれぐらいありますか、この十年間について年度別にお示し下さい。さらに摘発があったならば、その内容について具体的にお示し下さい。

七 政府は、通訳案内士法を改正して、無資格通訳案内士を使って悪徳店などに連れて行くランドオペレーターへの罰則導入を検討する予定はありますか。

  右質問する。