質問主意書

第190回国会(常会)

質問主意書


質問第六〇号

消費者庁、消費者委員会及び国民生活センターの地方移転に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十八年二月十九日

牧山 ひろえ   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   消費者庁、消費者委員会及び国民生活センターの地方移転に関する質問主意書

 政府は、「まち・ひと・しごと創生総合戦略」(平成二十六年十二月二十七日閣議決定)に基づき、地方創生を進めていく中で東京一極集中を是正する観点から、政府関係機関の地方移転に係る道府県等の提案を踏まえ、「まち・ひと・しごと創生本部」に設置した「政府関係機関移転に関する有識者会議」による検討を経て、平成二十七年度中に政府関係機関移転基本方針を決定することとしている。この地方からの提案に関して、徳島県からは、消費者庁、消費者委員会及び独立行政法人国民生活センター(以下「国民生活センター」という。)の同県への移転が提案され、政府において検討が進められているものと承知している。
 政府関係機関の地方移転を検討するに当たっては、昨年十二月に有識者会議が取りまとめた「政府関係機関の地方移転に係る対応方針」(以下「対応方針」という。)において、「①全国の中で、なぜそこに行くのか、②その機関が移転することによって地域の発展につながるか、③そこに移転することによって、その機関のミッションを踏まえ、全国を対象とした国の機関としての機能の維持、向上が期待できるか、④地域における自治体・民間等がどのような協力・受入体制を用意するか、といった点について、国の新たな財政負担は極力抑制し、組織・人員の拡充方向が出されているもの以外は肥大化を抑制することを前提」とするとの方針が示されている。
 これらを踏まえ、以下、質問する。

一 東京一極集中を是正し、地方の人口減少と地域経済の縮小に歯止めを掛け、地方の再生を図ることは重要な課題であると私も認識している。しかし、政府関係機関の移転を強行すれば、かえって大部分の国民にとって不便なものとなりかねない、ないし国全体としてのデメリットが大きい場合には、移転については極めて慎重に判断しなければならないと考える。また、移転候補となっている政府関係機関が現在所在している地方公共団体と当該政府関係機関の関係性等についても十分な配慮が必要ではないかと考えるが、この両点について政府の見解を明らかにされたい。

二 消費者庁は、特命担当大臣の下で政府全体の消費者保護政策を推進する司令塔機能を果たすことが期待されているとともに、消費者被害事故などの緊急事態に対処し、所管する法制度について多数の関係省庁と調整の上で迅速な企画立案や法執行をしている。その機能を十全に果たすためには、担当大臣、各省庁及び国会と同一地域に消費者庁が存在することが不可欠である。消費者庁を地方に移転し、テレビ会議の導入や東京分室の設置で対応することは、消費者庁の機能の低下に加え、テレビ会議の相手方も含めて費用の増大を伴うものであり、対応方針に照らして移転は不適当なのではないかと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

三 消費者委員会は、消費者行政全般の監視機能を有し、関係省庁や事業者等からのヒアリングなどの対面業務が不可欠である。消費者委員会が地方に移転しても、地域の発展につながることは見込みにくい上、全員が非常勤である委員の確保の問題が生じるなど、機能の維持・向上が期待できず、対応方針に照らして移転は不適当なのではないかと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

四 国民生活センターは、消費者行政における中核的な実施機関として、消費者庁及び消費者委員会と緊密に連携し、諸問題を検討して関係省庁に意見を述べ、地方消費者行政を支援し、消費者、事業者、地方公共団体及び各省庁に情報提供を行っている。国民生活センターが実施する商品テストに使用する設備・機器を地方に移設又は新設する場合には、莫大な費用が必要となる。また、商品テストの結果に基づいて事業者指導を行う場合、事業者の本社が東京圏に集中しているため、アクセス面の障害が増す。さらに、国民生活センターの研修施設には全国から年間約五千人の研修生が来所しており、同施設が地方に移転するとアクセスや専門家による支援の面から、費用の増大や機能の低下が避けられない。こうしたことから、移転は国民本位の消費者行政につながらず、対応方針に照らして移転は不適当なのではないかと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。