質問主意書

第190回国会(常会)

質問主意書


質問第五三号

ビットコイン等の検討状況に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十八年二月十五日

大久保 勉   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   ビットコイン等の検討状況に関する質問主意書

 私が提出した、「ビットコインに関する質問主意書」(第百八十六回国会質問第二八号)に対する答弁書(内閣参質一八六第二八号。以下「前回答弁書」という。)及び「ビットコインに関する再質問主意書」(第百八十六回国会質問第三九号)に対する答弁書(内閣参質一八六第三九号。以下「前回再答弁書」という。)が閣議決定されてから、約二年が経過している。この間、米国等においては、例えばニューヨーク州でビットコインを含む仮想通貨(以下「ビットコイン等」という。)を取り扱う企業に免許制を導入する等、行政においても着実に対応が進んでいる。また、ビットコイン等の基本技術であるブロックチェーンの手法は、様々な金融手法に応用されつつあり、フィンテックにおける主要な技術ともなっている。こうした状況を鑑み、ビットコイン等に対する政府の取組を確認するため、以下のとおり質問する。

一 前回答弁書の「一及び二について」では、「政府として、その全体像を把握しているものではなく、現在、関係省庁において連携を図りつつ、情報収集に取り組んでいるところである」及び「諸外国において、ビットコインを法的に定義している国又は近い将来に法的な定義を行うことを表明している国が存在しているか否かについても、具体的には承知していない」としており、前回再答弁書でも同趣旨の答弁をしている。前回答弁書及び前回再答弁書から約二年が経過した現在における、ビットコイン等への、関係省庁の連携の状況、情報収集の取組の状況及び諸外国における法的定義の状況を明らかにされたい。なお、諸外国における法的定義の状況については、先進国首脳会議構成国を中心に明らかにされたい。また、先進国首脳会議での検討状況についても、併せて明らかにされたい。

二 前回答弁書の「三について」では、「ビットコインを明確に位置付けているものは存在しない」としており、前回再答弁書の「二について」では、「法令整備の有無及び時期について、現時点において、政府として確たることは申し上げられない」としている。ビットコイン等の法的位置付けに関して、前回答弁書及び前回再答弁書から約二年が経過した現在における政府の見解を明らかにされたい。なお、前回答弁書又は前回再答弁書と同様の答弁を行うのであれば、ビットコイン等の法的位置付けを不明確なまま放置することが、マネーロンダリング対策の不備の原因となり得るか否かを併せて明らかにされたい。

三 前回答弁書の「四について」では、「ビットコインの売買の仲介やビットコインと円貨又は外貨との交換、ビットコインを預かる「口座」の開設及び当該口座間でのビットコインの移転については、銀行法第十条第一項各号、同条第二項各号及び第十一条各号に規定する銀行が営むことができる業務には該当しない」としているが、ビットコイン等の売買の仲介やビットコイン等と円貨又は外貨との交換、ビットコイン等を預かる「口座」の開設及び当該口座間でのビットコイン等の移転について、銀行が営むことができる業務に該当するか、前回答弁書から約二年が経過した現在における政府の見解を明らかにされたい。また、ビットコイン等の売買の仲介やビットコイン等と円貨又は外貨との交換、ビットコイン等を預かる「口座」の開設及び当該口座間でのビットコイン等の移転を業とする会社に銀行が出資することは可能か、併せて明らかにされたい。

四 前回再答弁書の「八について」では、「ビットコインと通貨との交換を行う業務については、我が国の現行法令において、「登録等」や「関係省庁への報告義務」の対象となっておらず、お尋ねの「所管する法令及び省庁」もないと考えている」としている。ビットコイン等と通貨との交換を行う業務に、登録等又は関係省庁への報告義務が求められているか、現在の状況を明らかにされたい。また、ビットコイン等を所管する法令及び省庁について、前回再答弁書から約二年が経過した現在の状況を明らかにされたい。なお、前回再答弁書と同様の答弁を行うのであれば、登録等又は関係省庁への報告義務がなく、所管する法令及び省庁もないまま放置することが、マネーロンダリング対策の不備の原因となり得るか否かを併せて明らかにされたい。

五 前回再答弁書の「九について」では、「「ビットコインの交換所」に係る具体的な事情が明らかでないことから、一概にお答えすることは困難である」としている。前回再答弁書から約二年が経過した現在までの間における、ビットコイン等の交換所に係る具体的な事情について、政府の承知するところを明らかにされたい。なお、具体的事情がいまだ明らかでないのであれば、この間にどのような調査を行ったかを明らかにされたい。

六 平成二十七年五月十九日の参議院財政金融委員会では、麻生太郎国務大臣が、「何もしていないんじゃない、議論が極めて紛糾しておる」と答弁している。本答弁から八ヶ月が経過した現在までの間における、政府での議論の経緯と内容を明らかにされたい。

  右質問する。