質問主意書

第190回国会(常会)

質問主意書


質問第一九号

日朝ストックホルム合意に明記された人権人道課題などに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十八年一月二十日

有田 芳生   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   日朝ストックホルム合意に明記された人権人道課題などに関する質問主意書

 平成二十六年五月二十九日の日朝ストックホルム合意において明記された、「1945年前後に北朝鮮域内で死亡した日本人の遺骨及び墓地、残留日本人、いわゆる日本人配偶者、拉致被害者及び行方不明者」に関する課題(以下「人権人道課題」とする)に関して質問します。

一 北朝鮮当局によって拉致された被害者等の支援に関する法律(平成十四年法律第百四十三号)第二条第一項第四号に定義された被害者の家族に対して政府から支出された費用について、平成二十四年度から平成二十六年度まで、年度ごとに支出項目別に分けて費用額をお示し下さい。

二 北朝鮮による拉致の可能性を排除できない行方不明者、いわゆる特定失踪者に対して政府から支出された費用について、平成二十四年度から平成二十六年度まで、年度別に支出項目別に分けて費用額をお示し下さい。

三 拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律(平成十八年法律第九十六号)第六条第三項に基づき、民間団体に行った財政上の配慮その他の支援について、その支援団体数、団体名、支援内容、支出費目及び支出額について、平成二十四年度から平成二十六年度まで、年度別に明らかにして下さい。あわせて、この法律以外によって支出した実績がある場合は、その法律名と実績を同様に明らかにして下さい。

四 政府は、各人権人道課題の当事者及び家族・親族との間において、日朝ストックホルム合意の進捗状況等について直接面談して説明した実績はありますか。その実績について、人権人道課題ごとに平成二十六年度と平成二十七年度に分けて明らかにして下さい。また、政府は、現行の取り組み状況によって各人権人道課題の当事者及び家族・親族の現状や意向を十分に把握しているという自信をお持ちですか。

五 警察庁は、平成二十七年七月二十七日現在で北朝鮮による拉致の可能性が排除できない行方不明者が、全国四十七都道府県に八百七十七名存在することを明らかにし、あわせて八百七十七名の年代別捜査・調査対象者数を明らかにしています。この八百七十七名について、失踪地別(都道府県別)、暦年別(一年ごと)に分けてお示し下さい。

六 警察庁が、全国の都道府県警察による徹底した捜査・調査によって得られた数々の情報は、国民の生命と人権の擁護に大きく関与する内容であり、国民に等しく周知して国民の安全を守ることが重要と考えます。個人情報等に留意しながらも、国民の安全を守る見地から徹底した捜査・調査によって得られた情報について概要を明らかにするお考えはありますか。

七 外務省は、平成二十七年三月、第二十八回国連人権理事会において採択された北朝鮮人権状況決議の本文に盛り込まれた北朝鮮における人権侵害の最高責任者の国際刑事裁判所への訴追実現に向け、本決議採択以降、どのような取り組みを行ってきましたか、具体的に明らかにして下さい。また、訴追実現のためには国連安保理常任理事国の拒否権が障壁になると考えますが、この常任理事国の拒否権についてどのような見解と打開策をお持ちですか。

八 外務省は、平成二十八年一月六日の北朝鮮による核実験の強行を契機として、国連並びに日本が実施しようとしている制裁の実効が、日朝ストックホルム合意に明記された人権人道課題の解決のために有効に働くとの認識をお持ちですか。

  右質問する。