質問主意書

第190回国会(常会)

質問主意書


質問第一三号

内閣が憲法判断を誤った場合の責任のとり方に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十八年一月十四日

脇 雅史   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   内閣が憲法判断を誤った場合の責任のとり方に関する質問主意書

 平成二十一年八月三十日の第四十五回衆議院議員総選挙について、平成二十三年三月二十三日に最高裁判所(以下「最高裁」という。)は一票の格差問題に関して違憲状態との判決を下した。
 これを受けて、平成二十四年十一月十六日にいわゆる〇増五減案の「衆議院小選挙区選出議員の選挙区間における人口較差を緊急に是正するための公職選挙法及び衆議院議員選挙区画定審議会設置法の一部を改正する法律」(以下「緊急是正法」という。)が成立し十一月二十六日に公布された。その後、平成二十五年六月二十四日に、「衆議院小選挙区選出議員の選挙区間における人口較差を緊急に是正するための公職選挙法及び衆議院議員選挙区画定審議会設置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律」(以下「区割り改定法」という。)が成立している。
 この間、平成二十四年十二月十六日に第四十六回衆議院議員総選挙が行われ、これに対して、平成二十五年十一月二十日に最高裁判決が下され、再度、違憲状態と判示された。
 その後、国会質疑の中で、緊急是正法及び区割り改定法により、違憲状態が解消されたかという質問に対して、安倍内閣総理大臣は、再三に亘り、違憲状態とされた一票の格差は解消されたものと考えている旨の答弁をしている。
 事例1 平成二十六年一月三十日 参議院本会議 質疑者 松田公太議員
 事例2 平成二十六年二月十七日 衆議院予算委員会 質疑者 杉本かずみ議員
 事例3 平成二十六年二月二十八日 衆議院予算委員会 質疑者 岡田克也議員
 その後、平成二十六年十二月十四日に第四十七回衆議院議員総選挙が行われ、これに対する最高裁判決が平成二十七年十一月二十五日に下され、三度違憲状態と判示された。安倍内閣総理大臣の「違憲状態とされた一票の格差は解消されたものと考えている」との国会における発言は、明確に否定されたことになる。
 そして否定された以上、内閣は日本国憲法第九十九条の憲法尊重擁護義務に違反したことになる。内閣が憲法違反をしているという前代未聞の事態が生じた訳であるから、何らかの対応をとる必要があると思うが、どうか。
 また、このことに対する責任をどう考えているのか、問う。
 具体的に、何らかの責任をとるべき対象となる者は、内閣総理大臣、内閣官房長官、総務大臣、法務大臣、内閣法制局長官等が考えられるが、如何か。
 実際には、緊急是正法が議員提案によるものであることから、立法府の責任がより重大なものと考えられる。立法府の責任は、立法府として負うべきものと考えるが、内閣総理大臣を始め、内閣を構成する大臣の過半数は、立法府の一員である国会議員であるから、内閣として、立法府の責任を如何に考えているのか、問う。

  右質問する。