質問主意書

第190回国会(常会)

質問主意書


質問第一一号

石垣島への自衛隊配備の問題に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十八年一月八日

糸数 慶子   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   石垣島への自衛隊配備の問題に関する質問主意書

 現在、政府は、南西諸島における防衛強化の一環として、八重山地域(石垣島、与那国島)への陸上自衛隊の配備を計画している。このうち石垣島については、平成二十七年十一月二十六日に若宮健嗣防衛副大臣が中山義隆石垣市長を訪ね、石垣島に五百から六百人規模の陸上自衛隊を配備する方針を説明し、受け入れを要請するなどの動きがあったと承知している。従来から主張しているように、当該配備計画は地域の緊張を高め、配備部隊への直接攻撃を誘発し、再び沖縄県民を戦禍の危険にさらすものであって、改めて当該配備計画の撤回を強く求めるものである。
 よって、以下質問する。

一 私が平成二十七年六月十七日に提出した「石垣島への自衛隊配備に関する質問主意書」(第百八十九回国会質問第一六九号)に対する政府答弁書(内閣参質一八九第一六九号)(以下「政府答弁書」という。)においては、平成二十五年度は「南西地域(二五)資料収集整理業務」を業者に発注し調査業務を行い、平成二十六年度は石垣島での調査は行わず、平成二十七年度は、石垣島において防衛省職員による現地調査を予定しているが、具体的な内容については現在調整中と記されていた。また、平成二十七年五月十一日の左藤章防衛副大臣による中山石垣市長訪問に関しても、石垣島が自衛隊の部隊の配置先の有力な候補地と考えていることを伝えたとし、現時点(政府答弁書が提出された六月二十六日)で、自衛隊の部隊の配置や施設整備等に関する具体的な計画等を有していないとされていた。
 他方で、この政府答弁書が提出された平成二十七年六月二十六日から五か月後の十一月二十六日の若宮防衛副大臣の中山石垣市長訪問の際には、具体的な配備地、隊員規模五百から六百人程度、地対空誘導弾の配置等が説明されたと承知している。防衛省では、六月の政府答弁書で示されたような、具体的な計画等は有していない状況から、五か月間で具体的な配備計画を策定したこととなるのか、この間の計画策定等の経緯を明らかにされたい。

二 若宮防衛副大臣の中山石垣市長訪問の際に、平成二十六年から平成二十七年にかけて、防衛省側が中山石垣市長を五十数回訪問した事が確認されている。また、「石垣島への部隊配置の考え方」というA4紙裏表二枚カラー資料(以下「配付資料」という。)が示された。同資料では配置部隊や装備が明記され、配置先候補地は石垣市「平得大俣の東側にある市有地及びその周辺」とされていた。こうした内容については、これまで市民並びに地域住民に対して一切の説明がなされていない。先の中山石垣市長に対する五十数回の訪問と比して、石垣市民をないがしろにするものであり、市民の生活に深刻な影響を及ぼす情報の未開示は地方自治の観点から看過できないことであると考えるが、政府の市民に対する情報開示の必要性に関する見解を求める。
 また、配付資料に明記された配置先候補地については、正確な位置関係をさらに詳細に記した上で、市民及び周辺住民に早急に説明すべきと考えるが、具体的な時期及びどのような内容で説明するのかも含めて、政府の見解を求める。その際、現地住民の質問に適切に回答できる担当者の出席が必要と考えるが、その点についても見解を求める。

三 配付資料には、石垣島の選定理由として石垣島は部隊を配置できる十分な地積を有し、空港や港湾等も整備されている、各種事態において迅速な初動対応が可能な地理的優位性があると明記されている。およそ五万人が居住する石垣島における各種事態とは、具体的に何を意味するのか明らかにされたい。また、当該各種事態が発生した際の、住民の避難計画はすでに策定しているのか、策定しているのであれば具体的な避難方法等の内容を明らかにされたい。

四 配付資料には、石垣島の選定理由として隊員やその家族を受け入れ可能な生活インフラが十分に整備されているとも記されている。五百から六百人の隊員や家族が居住するに当たっては、生活インフラ等に影響がないとは言えないのではないか。防衛省は、水、電気などのインフラ及び食料品等の物流における島民への影響について調査を行ったのか、また、具体的な影響についてどのように認識しているのか、明らかにされたい。

五 配付資料には、整備予定の施設に「射撃場」も挙げられているが、ここでは具体的にどのような火器の使用が想定されているのか明らかにされたい。また、重機関銃や対戦車火器などの重火器、ミサイル等が使用できる射爆場建設の予定があるか否かについても見解を示されたい。

六 石垣島においては観光産業、マンゴーやサトウキビ生産等の農業、畜産業が主要な経済基盤であると認識しているが、政府答弁書では、今般の石垣島への陸上自衛隊の部隊の配備による観光産業への影響及び地域経済に及ぼす経済的損失について、現時点(政府答弁書が提出された六月二十六日)で、自衛隊の部隊の配置や施設整備等に関する具体的な計画等を有しておらず政府の見解を示すことは困難であるとされていた。現在では、すでに中山石垣市長に対して配備計画が示されていることから、改めて観光産業への影響及び地域経済に及ぼす経済的損失に関する政府の見解を求める。

七 石垣島への海上自衛隊の艦艇、航空自衛隊の航空機の配備計画の有無について、具体的な艦種、機種も含めて明らかにされたい。

  右質問する。