質問主意書

第189回国会(常会)

答弁書


答弁書第三五二号

内閣参質一八九第三五二号
  平成二十七年十月六日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員小西洋之君提出安倍政治と政治諸原理との関係に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員小西洋之君提出安倍政治と政治諸原理との関係に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「独裁政治」、「クーデター」、「全体主義」及び「ファシズム」について、確立した定義があるとは承知していないが、「独裁政治」とは、一般に、強大な権力をもつ単独者・少数支配者・支配的党派が、集中化された権力機構を通して大衆を操作・動員して行う専断的政治をいい、「クーデター」とは、一般に、急激な非合法的手段に訴えて政権を奪うことをいい、「全体主義」とは、一般に、個人に対する全体の絶対的優位の主張のもとに諸集団を一元的に組み替え、諸個人を全体の目標に総動員する思想及び体制をいい、「ファシズム」とは、一般に、イタリアのファシスト党の運動、並びに同党が権力を握っていた時期の政治的理念及びその体制と共通の本質を持つ傾向・運動・支配体制をいうものと承知している。
 政府として、お尋ねの「安倍内閣が執り行ってきた行政権の行使について、これらの政治原理に適合する、あるいはその趣旨と整合するといった暴挙を犯してしまっていると考えるもの」はないと考えている。

二及び三について

 法の支配とは、人権の保障と恣意的権力の抑制とを主旨として、全ての権力に対する法の優越を認める考え方であり、立憲主義とは、主権者たる国民が、その意思に基づき、憲法において国家権力の行使の在り方について定め、これにより国民の基本的人権を保障するという近代憲法の基本となる考え方であり、主権在民及び国民主権とは、国家の意思を最終的に決定する最高の力としての主権が国民に存するという原理であり、議会制民主主義とは、議会が、国や地方公共団体の構成員たる国民や住民の代表機関として、立法等の形で構成員全体としての意思決定を行う政治制度であり、議院内閣制とは、議会と政府とを分立させつつ、政府の存立を議会の信任に依存させる統治制度であると考えている。
 お尋ねの「安倍内閣が執り行ってきた行政権の行使について、これらの本来趣旨をより発現する、あるいは、その発展により資するもの」については、その意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難である。