質問主意書

第189回国会(常会)

答弁書


答弁書第三五〇号

内閣参質一八九第三五〇号
  平成二十七年十月六日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員小西洋之君提出政府の憲法解釈における論理的整合性及び法的安定性に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員小西洋之君提出政府の憲法解釈における論理的整合性及び法的安定性に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 憲法を始めとする法令の解釈は、当該法令の規定の文言、趣旨等に即しつつ、立案者の意図や立案の背景となる社会情勢等を考慮し、また、議論の積み重ねのあるものについては全体の整合性を保つことにも留意して論理的に確定されるべきものであり、政府による憲法の解釈は、このような考え方に基づき、それぞれ論理的な追求の結果として示されてきたものであって、諸情勢の変化とそれから生ずる新たな要請を考慮すべきことは当然であるとしても、なお、前記のような考え方を離れて政府が自由に憲法の解釈を変更することができるという性質のものではないと考えている。政府の憲法解釈におけるお尋ねの「論理的整合性」とは、政府の憲法解釈がこのような論理的な追求の結果として示されたものであることを指す。
 また、お尋ねの「法的安定性」とは、法の制定、改廃や、法の適用を安定的に行い、ある行為がどのような法的効果を生ずるかが予見可能な状態をいい、人々の法秩序に対する信頼を保護する原則を指すものと考えている。仮に、政府において、論理的整合性に留意することなく、憲法解釈を便宜的、意図的に変更するようなことをするとすれば、法的安定性を害し、政府の憲法解釈ひいては憲法規範そのものに対する国民の信頼が損なわれかねないと考えられる。したがって、憲法尊重擁護義務を負う国家公務員がこのような意味で法的安定性を害してはならないのは当然である。