質問主意書

第189回国会(常会)

答弁書


答弁書第三三八号

内閣参質一八九第三三八号
  平成二十七年十月六日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員牧山ひろえ君提出中小法人等への課税に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員牧山ひろえ君提出中小法人等への課税に関する質問に対する答弁書

一について

 事業者免税点制度は、中小事業者の事務負担等に配慮する観点から設けられている制度であるが、課税事業者であるか否かが消費税相当分の価格への転嫁の有無や記帳の有無に影響を及ぼすこと等から、この制度の適用の有無を課税期間の開始前に確定しておくことが適正な課税の実現等のために不可欠であり、また、課税事業者になるか否かの選択は、本来、納付税額が有利になるか不利になるかという考慮に基づき行われるべき性格のものではない。
 このため、課税期間開始前に判明している直近の実績である前々年若しくは前々事業年度又は前年の一月一日から六月三十日までの期間若しくは前事業年度開始の日以後六月の期間の課税売上高によりこの制度の適用の有無を判定することとされており、また、免税事業者が課税事業者となることを選択する場合には、課税期間の開始前に課税事業者選択届出書を提出することが必要とされている。
 事業者免税点制度については、これまでも、累次の改正により、中小事業者の納税実務の実態も踏まえつつ、適用上限の引下げ等、課税の適正化の観点から見直しを行ってきたところである。

二について

 一についてでお答えしたとおり、事業者免税点制度は、中小事業者の事務負担等に配慮する観点から設けられているものであり、御指摘のように「全ての事業者を課税事業者として取り扱う」ことについては、現行制度において納税義務が免除されている小規模事業者が課税事業者と同様の記帳等を行えるかなどの問題があると考えている。
 また、仮に、簡易課税制度の適用について、御指摘のように「当該課税期間の課税売上高による判定とし、確定申告書の提出時に簡易課税制度を選択できる制度とする」こととすれば、納付税額が有利になるか不利になるかという考慮に基づき簡易課税制度の適用の有無を選択することが可能となり、いわゆる「益税」の発生を制度的に容認することとなるなどの問題があると考えている。

三について

 平成二十七年度税制改正においては、法人税の欠損金繰越控除の控除限度額の引下げを行っているが、中小法人等については、引き続き、所得の金額を控除限度額としている。こうした点を含めた中小法人課税のあり方については、実態を丁寧に検証しつつ、制度の趣旨や経緯も勘案しながら、引き続き、幅広い観点から検討を行っていく考えである。

四について

 平成二十七年度税制改正においては、法人事業税の外形標準課税の拡大を行っているが、中小法人等については、引き続き対象外としている。外形標準課税の適用対象法人のあり方については、地域経済・企業経営への影響も踏まえながら引き続き慎重に検討を行っていく考えである。