質問主意書

第189回国会(常会)

答弁書


答弁書第三二三号

内閣参質一八九第三二三号
  平成二十七年十月六日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員山本太郎君提出リニア中央新幹線と環境アセスに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員山本太郎君提出リニア中央新幹線と環境アセスに関する質問に対する答弁書

一について

 中央新幹線(東京都・名古屋市間)の環境影響評価については、環境影響評価法(平成九年法律第八十一号)に従い、平成二十六年四月二十三日に東海旅客鉄道株式会社(以下「JR東海」という。)から送付された「中央新幹線(東京都・名古屋市間)環境影響評価書」(以下「環境影響評価書」という。)について、環境大臣は同年六月五日に意見を述べ、国土交通大臣は、当該意見を勘案し、河川などの社会資本の管理者としての観点などからの措置を加え、同年七月十八日にJR東海に対し意見を述べた。この意見を受けて、JR東海は同年八月二十六日に補正を行った環境影響評価書(以下「補正後の評価書」という。)を同大臣に送付した。
 御指摘の「環境大臣意見における「これほどのエネルギー需要が増加することは看過できない」との記載」、「最新技術での解析を求められた地下水シミュレーション」及び「希少猛禽類の影響回避措置」については、補正後の評価書において、それぞれ、「省エネルギーを徹底しつつ、できる限り温室効果ガス排出量の抑制を図ります」、「水資源に関する最新の予測手法として・・・用いられている三次元水収支解析を実施しています」及び「工事開始までの継続的な確認調査及び事後調査を実施して生息状況の確認を行い、・・・必要な場合には・・・環境保全措置についても、専門家等の助言を踏まえて検討します」と記載されているところである。

二について

 御指摘の「事業者が解決できない場合又は説明が不十分である場合」の意味するところが必ずしも明らかではないが、平成二十六年七月十八日の環境影響評価書についての国土交通大臣からの意見に対するJR東海の対応については、補正後の評価書に記載されており、当該記載事項が実施されるに当たっては、国土交通大臣は、鉄道事業法(昭和六十一年法律第九十二号)や環境影響評価法の規定に従って対応することとなる。

三について

 環境影響評価法は、事業を実施しようとする者(以下「事業者」という。)自らが環境保全上の適正な配慮を行うことを期するものである。
 環境影響評価法第三十三条から第三十七条までの規定により、事業に係る免許等を行う者等(以下「免許等権者等」という。)は、環境影響評価書の記載事項及び同法第二十四条の書面に基づいて、当該事業につき、環境の保全についての適正な配慮がなされるものであるかどうかを審査しなければならず、例えば同法第三十三条においては、当該免許等に係る規定に定める基準に関する審査と環境の保全に関する審査の結果を併せて判断し、当該判断に基づき、当該免許等を拒否する処分を行うこと等ができることとしている。
 これらの手続により、事業者が事業に係る環境の保全について適正な配慮を行うことを確保しており、御指摘のように見直すことは考えていない。

四について

 環境影響評価法は、環境基本法(平成五年法律第九十一号)第十四条の規定により、人の健康が保護され、及び生活環境が保全され、並びに自然環境が適正に保全されるよう、環境の自然的構成要素が良好な状態に保持されること等の確保を旨としていることから、環境影響評価の項目を御指摘のように見直すことは考えていない。ただし、土地等の供用等に伴う交通量の増加による大気質、騒音等への影響については、人の健康の保護及び生活環境の保全のための評価項目に当たるため、事業者が事業特性及び地域特性に関する情報等を踏まえ評価することとしている。

五について

 御指摘の事例の事実関係が明らかでないため、お答えすることは困難である。

六について

 事業に係る計画の立案の段階における検討については、環境影響評価法の一部を改正する法律(平成二十三年法律第二十七号)による改正後の環境影響評価法第三条の二第一項の規定により、同法第二条第二項に規定する第一種事業を実施しようとする者には、当該事業に係る計画の立案の段階において、当該事業に係る環境の保全のために配慮すべき事項についての検討が義務付けられている。
 なお、その検討に当たっては、事業に係る位置等に関する適切な複数案を設定することを基本としている。

七について

 環境影響評価法は、事業者自らが事業に係る環境の保全について適正な配慮を行うことを確保することを目的としている。
 したがって、同法は、計画段階環境配慮書について関係行政機関等からの意見の聴取等を行う手続、事業に係る環境影響評価の項目等の選定及び環境影響評価準備書の記載事項の検討に当たり、都道府県知事等の意見を勘案するとともに、環境の保全の見地から意見を有する者の意見に配意する手続、環境影響評価書に対する免許等権者等の意見を勘案する手続等を定めている。