質問主意書

第189回国会(常会)

答弁書


答弁書第二九五号

内閣参質一八九第二九五号
  平成二十七年九月二十九日

内閣総理大臣臨時代理           
国務大臣 麻生 太郎   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員牧山ひろえ君提出政府提出の安全保障関連法案と日米安全保障条約の関係等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員牧山ひろえ君提出政府提出の安全保障関連法案と日米安全保障条約の関係等に関する質問に対する答弁書

一から四までについて

 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(昭和三十五年条約第六号。以下「日米安保条約」という。)第五条において、「各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動すること」とされ、また、日米安保条約第六条において、「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される」とされているところ、日米安保条約全体を通じて日米双方の義務のバランスはとられており、「片務的」との御指摘は当たらない。
 また、御指摘の「米国による日本防衛義務を日本が一部手助けするもの」との趣旨が必ずしも明らかではないが、平成二十七年九月十九日に成立した我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律及び国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律により、日米安保条約及びその関連取極に基づく権利及び義務は変更されるものではない。
 いずれにせよ、政府としては、厳しい財政事情にも十分配慮しつつ、日米安保体制の円滑かつ効果的な運用の確保のため、在日米軍駐留経費負担につき適切に対応してきているところである。

五について

 平成二十七年四月二十七日(現地時間)の日米安全保障協議委員会において了承された日米防衛協力のための指針においては、「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(日米安全保障条約)及びその関連取極に基づく権利及び義務並びに日米同盟関係の基本的な枠組みは、変更されない」こととされており、政府としては、日米安保条約を改正することは考えていない。また、お尋ねの「同条約を改定する場合」については、個別具体的な状況に即して判断されるものであり、一概にお答えすることは困難である。

六について

 集団的自衛権は、国際連合憲章(昭和三十一年条約第二十六号)第五十一条において規定され、国家に認められている権利であり、各国がその範囲内でこれを制限的に行使しても国際法上何ら問題はない。
 いずれにせよ、我が国の立場については、これまでも諸外国に対し説明してきており、例えば、米国、豪州、フィリピン、ベトナム、ドイツ、フランス等の各国政府から理解を得ている。

七について

 お尋ねについては、日米安保条約第六条の規定に基づきアメリカ合衆国軍隊が我が国に駐留し、その抑止力を通じて我が国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与していると認識している。