質問主意書

第189回国会(常会)

答弁書


答弁書第二六四号

内閣参質一八九第二六四号
  平成二十七年九月四日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員大久保勉君提出独立社外取締役の現状に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員大久保勉君提出独立社外取締役の現状に関する質問に対する答弁書

一について

 株式会社東京証券取引所(以下「東証」という。)が制定する有価証券上場規程の一部を成すコーポレートガバナンス・コードにおいては、独立社外取締役に期待される役割及び責務として、「経営の方針や経営改善について、自らの知見に基づき、会社の持続的な成長を促し中長期的な企業価値の向上を図る、との観点からの助言を行うこと」、「経営陣幹部の選解任その他の取締役会の重要な意思決定を通じ、経営の監督を行うこと」、「会社と経営陣・支配株主等との間の利益相反を監督すること」及び「経営陣・支配株主から独立した立場で、少数株主をはじめとするステークホルダーの意見を取締役会に適切に反映させること」が挙げられていると承知している。

二について

 平成二十七年八月三十一日までに、東証における市場第一部及び市場第二部の上場内国会社(以下「上場内国会社」という。)が東証に対して提出したコーポレート・ガバナンスに関する報告書によれば、上場内国会社のうち、指名委員会等設置会社は五十五社、監査等委員会設置会社は百二十四社、監査役会設置会社は二千二百六十社となっていると承知している。
 また、東証が平成二十六年七月十四日までに上場内国会社から提出されたコーポレート・ガバナンスに関する報告書により把握している数と比較した場合、上場内国会社のうち、指名委員会等設置会社(会社法の一部を改正する法律(平成二十六年法律第九十号)の施行前は、委員会設置会社)の数は増加し、監査役会設置会社の数は減少していると承知している。また、新しく制度が導入された監査等委員会設置会社の数は皆増していると承知している。

三及び四について

 多くの独立社外取締役を兼任する結果、その役割及び責務を十分果たせなくなるようなことは、望ましくないと考える。
 コーポレートガバナンス・コードにおいても、「取締役・監査役が他の上場会社の役員を兼任する場合には、その数は合理的な範囲にとどめるべき」とされていると承知している。
 なお、独立社外取締役を兼任する場合の会社の数に、より具体的な上限を設けるべきかどうかについては、今後の実務の経験等を踏まえた議論が必要であると考えられ、現時点で確定的にお答えすることは困難である。

五について

 平成二十七年七月十四日までに上場内国会社が東証に対して提出したコーポレート・ガバナンスに関する報告書によれば、上場内国会社のうち、五社以上において社外取締役に選任されており、かつ、独立役員に指定されている者について、①社外取締役に選任されており、かつ、独立役員に指定されている会社の数、②当該会社の名称、③氏名及び④代表的な肩書きは次のとおりであると承知している。なお、代表的な肩書きについては、各上場内国会社が提出したコーポレート・ガバナンスに関する報告書における社外取締役の属性の欄において、最も多くの上場内国会社が記載したものをお示ししている。
 ①五社 ②曙ブレーキ工業株式会社、小林製薬株式会社、住友化学株式会社、株式会社セブン&アイ・ホールディングス及び東レ株式会社 ③伊藤邦雄 ④学者
 ①五社 ②旭硝子株式会社、鹿島建設株式会社、武田薬品工業株式会社、東京エレクトロン株式会社及び野村ホールディングス株式会社 ③坂根正弘 ④他の会社の出身者
 ①五社 ②京阪電気鉄道株式会社、ファナック株式会社、三菱商事株式会社、株式会社三菱総合研究所及び株式会社山口フィナンシャルグループ ③佃和夫 ④他の会社の出身者
 ①五社 ②オリックス株式会社、株式会社大和証券グループ本社、株式会社ふくおかフィナンシャルグループ、株式会社ベネッセホールディングス及び株式会社ヤクルト本社 ③安田隆二 ④学者