質問主意書

第189回国会(常会)

答弁書


答弁書第二三三号

内閣参質一八九第二三三号
  平成二十七年八月十八日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員石橋通宏君提出我が国における難民認定の状況に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員石橋通宏君提出我が国における難民認定の状況に関する質問に対する答弁書

一の1について

 平成十七年以降に難民認定申請(出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号。以下「入管法」という。)第六十一条の二第一項の規定による難民の認定の申請をいう。以下同じ。)をした者の数は、平成十七年が三百八十四人、平成十八年が九百五十四人、平成十九年が八百十六人、平成二十年が千五百九十九人、平成二十一年が千三百八十八人、平成二十二年が千二百二人、平成二十三年が千八百六十七人、平成二十四年が二千五百四十五人、平成二十五年が三千二百六十人、平成二十六年が五千人、平成二十七年が統計を有している三月末日時点で千四百二十二人である。
 平成十七年以降に難民の認定を受けた者の数は、平成十七年が四十六人、平成十八年が三十四人、平成十九年が四十一人、平成二十年が五十七人、平成二十一年が三十人、平成二十二年が三十九人、平成二十三年が二十一人、平成二十四年が十八人、平成二十五年が六人、平成二十六年が十一人、平成二十七年が統計を有している三月末日時点で二人である。
 お尋ねの「認定率」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、難民の認定を受けた者の数を処理した難民認定申請の数と処理した異議申立て(入管法第六十一条の二の九第一項の規定による異議申立てをいう。以下同じ。)の数とを合算した数で除した率は、平成十七年が約九・一パーセント、平成十八年が約五・四パーセント、平成十九年が約五・四パーセント、平成二十年が約四・五パーセント、平成二十一年が約一・四パーセント、平成二十二年が約二・〇パーセント、平成二十三年が約〇・七パーセント、平成二十四年が約〇・六パーセント、平成二十五年が約〇・二パーセント、平成二十六年が約〇・二パーセント、平成二十七年が統計を有している三月末日時点で約〇・一パーセントである。

一の2について

 平成二十七年三月末日時点で難民認定申請中の者の数は三千九百二十六人であり、このうち同日時点で入国管理局の収容施設に収容されていた者の数は百五十二人である。同日時点で難民認定申請中の者の難民認定申請をした年別の内訳は、平成二十五年が百五十五人、平成二十六年が二千四百八人、平成二十七年が千三百六十三人である。同日時点で難民認定申請中の者の国籍は、アフガニスタン、アメリカ、アルジェリア、アルゼンチン、アンゴラ、イエメン、イラク、イラン、インド、インドネシア、ウガンダ、ウクライナ、ウズベキスタン、エジプト、エチオピア、エリトリア、ガーナ、カナダ、カメルーン、ガンビア、カンボジア、ギニア、キューバ、ケニア、コートジボワール、コロンビア、コンゴ民主共和国、シエラレオネ、シリア、シンガポール、ジンバブエ、スーダン、スリランカ、スロバキア、セネガル、タイ、タンザニア、チュニジア、トルコ、トンガ、ナイジェリア、ネパール、ハイチ、パキスタン、パレスチナ、バングラデシュ、フィリピン、ブラジル、ベトナム、ベナン、ペルー、マラウイ、マリ、ミャンマー、メキシコ、モロッコ、モンゴル、ラオス、リトアニア、リベリア、ルワンダ、レバノン、ロシア、韓国、中国、南アフリカ共和国及び無国籍である。
 また、平成二十七年三月末日時点で異議申立て中の者の数は五千九百八十八人であり、このうち同日時点で入国管理局の収容施設に収容されていた者の数は二百二十四人である。同日時点で異議申立て中の者の難民認定申請をした年別の内訳は、平成十七年が一人、平成十八年が一人、平成二十年が十四人、平成二十一年が三十七人、平成二十二年が六十五人、平成二十三年が三百八十人、平成二十四年が千五百三十二人、平成二十五年が二千四百三十人、平成二十六年が千五百五人、平成二十七年が二十三人である。同日時点で異議申立て中の者の国籍は、アフガニスタン、アメリカ、アルゼンチン、アンゴラ、イラク、イラン、インド、インドネシア、ウガンダ、ウズベキスタン、エジプト、エチオピア、ガーナ、カメルーン、ガンビア、カンボジア、ギニア、キプロス、キューバ、グアテマラ、ケニア、コートジボワール、コロンビア、コンゴ民主共和国、サウジアラビア、ザンビア、シリア、ジンバブエ、スーダン、スペイン、スリランカ、セネガル、ソマリア、タイ、タンザニア、チュニジア、チリ、トーゴ、トルコ、ナイジェリア、ネパール、パキスタン、パラグアイ、バングラデシュ、フィリピン、ブラジル、ブルキナファソ、ブルンジ、ベトナム、ペルー、ボリビア、マリ、マレーシア、ミャンマー、モーリシャス、モザンビーク、モロッコ、モンゴル、ラオス、リベリア、ルワンダ、ロシア、韓国、中国、南アフリカ共和国及び無国籍である。
 さらに、お尋ねの「申請が継続している理由」については、事実確認に時間が必要な案件であること、難民認定申請者からの立証資料の提出等に期間を要したこと、難民認定申請数の急増により難民認定申請に係る事務手続が相当程度輻輳していること等である。

一の3について

 平成二十六年に処理した異議申立ての数は千百七十六件であり、難民認定申請から異議申立ての処理までに要した期間の平均は約三十七か月である。このうち、異議申立てに理由があるとして難民の認定をしたものの難民認定申請から難民の認定までに要した期間の平均は約六十九・七か月、異議申立てに理由がないとして棄却したものの難民認定申請から棄却までに要した期間の平均は約三十七か月である。

一の4、6及び10並びに三の1について

 お尋ねのような形での統計をとっておらず、お答えすることは困難である。

一の5について

 難民認定申請の処理に要した期間の統計をとって公表することとしたのは平成二十二年以降に処理した難民認定申請についてであり、これについて、当該期間の平均を難民認定申請を処理した年別にお示しすると、平成二十二年が約十三・九か月、平成二十三年が約七・一か月、平成二十四年が約五・八か月、平成二十五年が約五・九か月、平成二十六年が約七・六か月、平成二十七年一月から同年三月までの間が約八・一か月である。

一の7について

 難民不認定処分取消請求訴訟及び難民不認定処分無効確認請求訴訟について、平成十七年一月から平成二十七年七月末日までの間に提起された件数は四百九十二件であり、当該期間に終局裁判がなされた件数は八百七十件、そのうち難民不認定処分が取消し又は無効とされた件数は八十件、これが確定した件数は五十一件である。

一の8について

 平成二十六年に仮滞在の許可を受けた者の数は百十一人、仮滞在が不許可となった者(以下「仮滞在不許可外国人」という。)の数は七百九十人である。
 また、難民認定申請から仮滞在の許否の判断までに要した期間の平均は約四・九か月である。

一の9について

 平成二十六年に出入国港である空港で難民認定申請をした者の数は百十七人であり、このうち仮滞在の許可を受けた者の数は二人、仮滞在不許可外国人の数は百五人である。仮滞在不許可外国人について、その許可をしなかった理由別の内訳は、入管法第六十一条の二の四第一項第六号に該当する者が九人、同項第八号に該当する者が十一人、同項第九号に該当する者が八十八人、その他の者が十人である。

二について

 平成二十二年から平成二十六年までの間に難民の認定を受けた者のうち、難民の認定を受けるまでに二回以上難民認定申請をした者の数は十四人であり、これとは別に、当該期間に難民不認定処分を受けたが在留許可を受けた者のうち、在留許可を受けるまでに二回以上難民認定申請をした者の数は二百九十二人である。

三の2について

 平成十七年五月十六日以降、法務大臣は、異議申立てに対する決定をするに当たって、一件の異議申立てについて三人の難民審査参与員の意見を聴くこととされている。お尋ねの「参与員が認定という結論を出したにもかかわらず、法務大臣が不認定とした逆転ケース」が具体的に何を意味するのか必ずしも明らかではないが、同日以降、異議申立てに理由がないとして棄却した事案のうち、法務大臣が意見を聴いた三人の難民審査参与員のうち二人以上が異議申立てに理由があり難民の認定をすべきである旨の意見を提出したものの数は、平成二十五年が七件、平成二十六年が五件、平成二十七年が一件の計十三件であり、これらの異議申立てを行った者の国籍は、スリランカ、トルコ、ミャンマー及び中国である。また、これらの異議申立てを棄却した理由は、本国政府から自己名義の旅券の発給を受けて本国に一時帰国した事実が認められたこと、本国政府から反政府活動家として殊更注視され、迫害される蓋然性が高いとは認められないことなどから、難民の地位に関する条約(昭和五十六年条約第二十一号。以下「難民条約」という。)第一条の規定又は難民の地位に関する議定書(昭和五十七年条約第一号)第一条の規定により難民条約の適用を受ける難民の要件を満たすと認められなかったことである。

三の3及び4について

 お尋ねの期間において、異議申立てに理由があるとして難民の認定をした事案は九十二件であり、異議申立てが不適法であるとして却下し、又は理由がないとして棄却した事案は四千八百九十一件である。後者のうち、法務大臣が意見を聴いた三人の難民審査参与員のうち二人以上が異議申立てに理由があり難民の認定をすべきである旨の意見を提出した事案は十二件である。

三の5について

 入管法は、難民審査参与員について、人格が高潔であって、難民不認定処分等に対する異議申立てに関し公正な判断をすることができ、かつ、法律又は国際情勢に関する学識経験を有する者のうちから任命する旨規定しており、法務大臣において、①事実認定を含む法律実務の経験豊富な法曹実務家、②地域情勢や国際問題に明るい元外交官、商社等海外勤務経験者、海外特派員経験者、NGO、国連関係機関勤務経験者等、③国際法、外国法、行政法等の分野の法律専門家から難民審査参与員を選任しており、お尋ねの期間に難民審査参与員に任命した百九人の内訳は、それぞれ、①が三十九人、②が三十八人、③が三十二人である。当該百九人について、お尋ねのような更に細分化した「分類」で内訳をお示しすることは困難であり、また、「各人が何件の認定意見を出したか」については、統計をとっておらず、お答えすることは困難である。

四について

 平成二十二年から平成二十七年までのそれぞれ三月末日時点で、難民認定申請をしている者のうち生活に困窮するものに対する支援として支給している保護費の支給を受けた者の数は、平成二十二年が三百五十三人、平成二十三年が三百五十七人、平成二十四年が三百十八人、平成二十五年が三百二十人、平成二十六年が二百六十六人、平成二十七年が百六十人であり、当該支給を受けた者の国籍は、平成二十二年がアフガニスタン、アメリカ、アンゴラ、イラン、インド、ウガンダ、エチオピア、ガーナ、カメルーン、ギニア、グアテマラ、ケニア、コートジボワール、コロンビア、コンゴ民主共和国、ザンビア、シエラレオネ、スーダン、スリランカ、チュニジア、トーゴ、トルコ、ナイジェリア、ネパール、パキスタン、バングラデシュ、フィリピン、ブルンジ、ペルー、ボリビア、ミャンマー、ヨルダン、リベリア、ルワンダ、ロシア及び中国、平成二十三年がアメリカ、アルメニア、アンゴラ、イラク、イラン、インド、ウガンダ、エチオピア、エリトリア、ガーナ、カメルーン、ギニア、ケニア、コートジボワール、コロンビア、コンゴ民主共和国、ザンビア、ジンバブエ、スーダン、スリランカ、タンザニア、チュニジア、トーゴ、トルコ、ナイジェリア、ネパール、パキスタン、バングラデシュ、フィリピン、ブルンジ、ボリビア、マリ、ミャンマー、モロッコ、リベリア、ルワンダ、南アフリカ共和国及び無国籍、平成二十四年がアフガニスタン、アンゴラ、イラク、イラン、インド、ウガンダ、ウズベキスタン、エチオピア、ガーナ、カメルーン、ケニア、コートジボワール、コロンビア、コンゴ民主共和国、ジンバブエ、スーダン、スリランカ、セネガル、チュニジア、トーゴ、トルコ、ナイジェリア、ニジェール、ネパール、パキスタン、バングラデシュ、フィリピン、ブルンジ、ベナン、マリ、ミャンマー、リベリア、ルワンダ、ロシア、韓国及び無国籍、平成二十五年がアフガニスタン、アンゴラ、イラン、インド、インドネシア、ウガンダ、エジプト、エチオピア、ガーナ、カメルーン、ガンビア、ギニア、ケニア、コートジボワール、コンゴ民主共和国、シリア、ジンバブエ、スーダン、スリランカ、セネガル、チュニジア、トーゴ、トルコ、ナイジェリア、ネパール、パキスタン、バングラデシュ、フィジー、フランス、ブルンジ、マリ、ミャンマー、モロッコ、ルワンダ、ロシア、韓国、中国、南アフリカ共和国及び無国籍、平成二十六年がアフガニスタン、アンゴラ、イラク、イラン、インド、ウガンダ、エジプト、エチオピア、エリトリア、ガーナ、カメルーン、ケニア、コートジボワール、コンゴ民主共和国、ジンバブエ、スーダン、スリランカ、セネガル、ソマリア、チュニジア、トルコ、ナイジェリア、ネパール、パキスタン、バングラデシュ、フィジー、フィリピン、フランス、ベトナム、ペルー、マリ、ミャンマー、モロッコ、リベリア、ルワンダ、韓国、中国及び無国籍、平成二十七年がアルジェリア、アルゼンチン、アンゴラ、イエメン、イラン、インド、インドネシア、ウガンダ、エジプト、エチオピア、エリトリア、ガーナ、カメルーン、ギニア、キューバ、ケニア、コンゴ民主共和国、シンガポール、スーダン、スリランカ、セネガル、チュニジア、トルコ、ナイジェリア、ネパール、パキスタン、バングラデシュ、フィジー、フィリピン、ベナン、ペルー、マリ、ミャンマー、モロッコ、リベリア、韓国及び無国籍である。
 また、当該支給を受けた者の平均受給期間は、平成二十二年が約十一か月、平成二十三年が約十三か月、平成二十四年が約十四か月、平成二十五年が約十四か月、平成二十六年が約十五か月、平成二十七年が約十四か月である。

五について

 難民認定制度については、法務大臣の下で開催された「第六次出入国管理政策懇談会」及び「難民認定制度に関する専門部会」の報告書の内容を踏まえ、手続全体の公平性、透明性の向上を図りつつ、真に庇護されるべき者を迅速かつ確実に認定するための手続の運用方法について鋭意検討を行っているところである。