質問主意書

第189回国会(常会)

答弁書


答弁書第二二二号

内閣参質一八九第二二二号
  平成二十七年八月十一日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員石上俊雄君提出誰もがいきいきと働けるための環境整備に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員石上俊雄君提出誰もがいきいきと働けるための環境整備に関する質問に対する答弁書

一の1について

 御指摘については、政府としては、高年齢者が働きやすい環境を整備する事業主に対する支援及び高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(昭和四十六年法律第六十八号)第九条第一項に規定する高年齢者雇用確保措置(以下「高年齢者雇用確保措置」という。)の着実な実施に係る指導等は重要であると考えている。このため、高年齢者雇用安定助成金により、機械設備の導入、研修システムの開発等の高年齢者の安定した雇用の確保のために事業主が講じる措置に係る経費に対する助成を行うとともに、高年齢者雇用確保措置の実施状況について、毎年、事業主から報告を求め、未実施の事業主に対し、公共職業安定所等を通じて実施に向けた指導、勧告等を行っているところであり、平成二十六年六月一日現在において、常時雇用する労働者が三十一人以上の事業主の九十八・一パーセントにおいて高年齢者雇用確保措置が実施されている。
 これらの取組により、高年齢者の雇用の確保は着実に進んでいるものと考えており、今後とも、高年齢者の雇用の確保に向けた環境整備に取り組んでまいりたい。

一の2及び3について

 御指摘の「短時間勤務制度を法制化」については、その具体的な内容が必ずしも明らかではないため、これに関するお尋ねについてお答えすることは困難である。また、高年齢者の多様な就業ニーズに対応できる短時間勤務制度の導入、高年齢者が知識や経験をいかし、若年者への技能伝承や指導等の役割を担う職務の開発等を行う事業主を支援していくことは重要であると考えており、政府としては、高年齢者雇用安定助成金により、短時間勤務制度の導入等の雇用管理改善、高年齢者の能力、知識、経験等が十分に活用できる職務の創出等の事業主が講じる措置に係る経費に対する助成を行うとともに、厚生労働省及び独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が開催する「高年齢者雇用開発コンテスト」において、事業主において高年齢者が働きやすい職場づくりの創意工夫を行っている事例について表彰及びその普及促進を図っているところである。
 これらの取組により、高年齢者の雇用の確保は着実に進んでいるものと考えており、今後とも、高年齢者が働きやすい環境を整備する事業主を支援してまいりたい。

二の1について

 御指摘の女性の活躍推進のためには、固定的性別役割分担意識の解消、仕事と家庭の両立支援、長時間労働の是正、キャリア開発支援等の取組の推進が重要であると考えている。このため、政府においては、「第三次男女共同参画基本計画」(平成二十二年十二月十七日閣議決定)に基づき、仕事と家庭の両立ができる職場環境の整備を始めとして、各種施策に取り組んでいるところである。
 これらの取組により、女性の活躍は着実に進んでいるものと考えており、今後とも、女性が職業生活において活躍できる環境整備に取り組んでまいりたい。また、政府としては、女性の活躍がより一層推進されるよう、国及び地方公共団体並びに常時雇用する労働者の数が三百人を超える事業主に対し、女性の職業生活における活躍に関する状況の把握及び改善すべき事情の分析、その結果を踏まえた行動計画の策定等を義務付けることとする女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案を第百八十九回国会に提出しており、その早期成立に向けて努力してまいりたい。

二の2について

 御指摘については、政府としては、非正規雇用労働者の正社員転換や処遇改善を行うことは重要であると考えており、これまでも、キャリアアップ助成金の活用促進、公共職業安定所における正社員の求人開拓等を行ってきたところである。
 これらの取組により、非正規雇用労働者の正社員転換や処遇改善は着実に進んでいるものと考えており、今後とも、非正規雇用労働者の安定した雇用の実現を図ってまいりたい。

三の1について

 御指摘の「不妊治療への経済的支援措置」については、国民が希望する妊娠及び出産の実現のための支援が重要であると考えており、不妊治療の経済的負担の軽減を図るため、厚生労働省において、平成十六年度に、配偶者間の体外受精及び顕微授精に要する費用の一部を助成する不妊に悩む方への特定治療支援事業を創設し、その後、通算助成期間の延長、助成額の増額、助成対象者の所得制限額の引上げ等、当該事業の見直しを行ってきたところである。平成二十六年度からは、「不妊に悩む方への特定治療支援事業等のあり方に関する検討会」の報告書(平成二十五年八月二十三日)を踏まえ、助成対象者の年齢を四十三歳未満とすることについて段階的に施行するとともに、通算助成回数を六回までとする一方、年間助成回数及び通算助成期間に係る制限は設けないこととしたところである。
 当該事業による助成件数の実績については、平成十六年度は一万七千六百五十七件であったが、平成二十五年度には十四万八千六百五十九件と増加しており、当該事業が不妊治療の経済的負担の軽減に一定の役割を果たしてきたものと考えている。政府としては、今後とも、当該事業の助成金額の拡充などの更なる見直しについて、平成二十六年度以降の事業の施行状況や財政状況を勘案し、必要に応じて検討してまいりたい。
 また、我が国の医療保険制度においては、不妊治療について、治療と疾病との関係が明らかであり、疾病等に対する有効性、安全性等が確立した治療を保険適用の対象としている。

三の2について

 御指摘の「特定不妊治療費助成の対象となっている体外受精及び顕微授精以外の不妊治療に対しても新たに助成制度を設けるべき」の意味するところが必ずしも明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。

四について

 御指摘のパワーハラスメント対策については、政府としては、「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言」(平成二十四年三月十五日職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議取りまとめ)を踏まえ、パワーハラスメントの予防及び解決に向けて、実効性のある施策を行っていくことが重要であると考えている。このため、政府としては、これまでも、働きやすい職場環境形成事業において、ポータルサイト「あかるい職場応援団」の開設、リーフレットの配布等による周知及び啓発、企業内での対策に資するための「パワーハラスメント対策導入マニュアル」の作成、人事労務担当者向けのセミナーの全都道府県での実施等の取組を推進してきたところである。これらの取組により、「パワーハラスメント」という言葉の認知が広がる等、予防及び解決に向けた社会的気運の醸成が着実に進んでいると考えており、今後とも、最新の企業の取組状況を把握する等更なる取組を進めてまいりたい。

五の1について

 御指摘の「障害者に対する差別の禁止に関する規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するための指針」(平成二十七年厚生労働省告示第百十六号)及び「雇用の分野における障害者と障害者でない者との均等な機会若しくは待遇の確保又は障害者である労働者の有する能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するために事業主が講ずべき措置に関する指針」(平成二十七年厚生労働省告示第百十七号)については、事業者に対する周知を積極的に推進することが重要であると考えており、都道府県労働局長、都道府県知事、指定都市市長及び中核市市長並びに独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長に対し、「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律の施行について」(平成二十七年六月十六日付け職発○六一六第一号厚生労働省職業安定局長通知)等を発出するとともに、同日付けで「改正障害者雇用促進法に基づく障害者差別禁止・合理的配慮に関するQ&A第一版」及び「合理的配慮指針事例集第一版」をホームページにおいて公表したところである。
 また、厚生労働省において事業主及び障害者の就労を支援する団体等に向けた説明会を開催してきたところであり、今後とも、適切に周知してまいりたい。

五の2及び3について

 御指摘については、政府としては、障害者の一般就労への移行を促進していくことは重要であると考えており、これまでも就労移行支援及び就労継続支援の創設及び充実を行ってきたところである。また、障害者の一般就労への移行をより促進させるため、平成二十七年度の障害福祉サービス等報酬改定において、一般就労に移行した障害者の就労継続期間に応じて就労移行支援を行う事業者を評価する加算等を設けたところである。
 これらの取組により、一般就労に移行した障害者の数は着実に増加しており、今後とも、障害者の一般就労への移行促進に取り組んでまいりたい。

六について

 御指摘については、政府としては、障害児及び障害者(以下「障害児等」という。)とその保護者を支援していくことは重要であると考えており、これまでも居宅訪問型保育事業や放課後等デイサービスの創設等を行ってきたところである。
 これらの取組により、障害児等とその保護者のニーズに応じた支援は着実に進んでいるものと考えており、今後とも、個々人の特性に応じたサービスの提供体制を確保し、障害児等とその保護者を支援してまいりたい。