質問主意書

第189回国会(常会)

答弁書


答弁書第二一二号

内閣参質一八九第二一二号
  平成二十七年七月三十一日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員水野賢一君提出死刑の執行に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員水野賢一君提出死刑の執行に関する質問に対する答弁書

一について

 刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第四百七十五条第二項本文においては、死刑の執行の命令は判決確定の日から六か月以内にしなければならない旨が規定されているが、これは、一般に、訓示規定であると解されており、六か月以内に死刑の執行の命令がなされなくても、裁判の執行とはいえ、人の生命を絶つ極めて重大な刑罰の執行に関することであるため、その執行に慎重を期していることによるものであって、違法であるとは考えていない。

二について

 平成二十七年七月二十七日現在における死刑確定者は百三十名であり、そのうち、再審の請求がされている者は九十四名、恩赦の出願がされている者は二十六名であり、上訴権回復の請求がされている者、非常上告がされている者、恩赦の申出がされている者及び共同被告人であった者に対する判決が確定していない者はいない。

三について

 死刑の執行を受けた者の判決確定の日から執行までの期間を法務省において把握している平成十五年九月十二日から平成二十七年七月二十七日までの間に執行が行われた事例について、当該期間の平均は、約五年四か月である。

四から六までについて

 個々の死刑確定者が特定されるおそれのある事柄については、関係者のプライバシー保護等の観点から、お答えすることを差し控えたいが、平成十九年十二月以降、死刑の執行が適正に行われていることについて国民の理解を得るために可能な範囲で情報公開を進めることが重要であると考えたことなどから、死刑の執行を受けた者の氏名、犯罪事実等については明らかにしており、同月以降に執行が行われた事例についてお示しすると、判決確定の日から執行までの期間が最も短かったものとして、判決確定の日から約一年四か月後の平成二十五年四月二十六日に執行された事例があり、判決確定の日から執行までの期間が最も長かったものとして、判決確定の日から約十八年五か月後の同年十二月十二日に執行された事例がある。

七について

 刑事訴訟法第四百七十五条第二項ただし書は死刑の執行停止事由を規定したものではなく、同項ただし書に規定する期間中に死刑の執行が行われた事例はある。

八について

 お尋ねについて、法務省において把握している平成十五年九月十二日から平成二十七年七月二十七日までの間に死刑の執行を受けた者のうち、上訴権回復若しくは再審の請求、非常上告又は恩赦の出願若しくは申出がされたことがなく、共同被告人であった者に対する判決が確定するまでの期間がなかった者についての判決確定の日から執行までの期間の平均は、約三年七か月である。

九及び十について

 現行の刑事訴訟法が施行されて間のない頃には、法務大臣の死刑執行命令から五日以内に執行しなかった事例があったようであるが、その後は、同法第四百七十六条の規定に従って執行している。

十一について

 死刑の執行を受けた者の法務大臣が執行を命じた日から執行までの期間を法務省において把握している平成十五年九月十二日から平成二十七年七月二十七日までの間に執行が行われた事例について、当該期間の平均は、約三・二日である。