質問主意書

第189回国会(常会)

答弁書


答弁書第一九五号

内閣参質一八九第一九五号
  平成二十七年七月十四日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員石上俊雄君提出東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故への対応に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員石上俊雄君提出東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故への対応に関する質問に対する答弁書

一の1について

 福島県内の除染により発生した除去土壌等(平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法(平成二十三年法律第百十号)第三十一条第一項に規定する除去土壌等をいう。以下同じ。)を集中的かつ安全に保管する中間貯蔵施設の整備や除去土壌等の輸送に当たっては、当該施設に関する情報公開の実施等を通じ、できるだけ国民の不安が生じないよう取り組むことが重要であると認識している。このため、環境省が設置する検討会や同県が設置する中間貯蔵施設に係る専門家会議における指摘を踏まえ、必要な安全対策等を講ずるとともに、同省等のホームページにおいて、中間貯蔵施設や輸送に係る計画や、中間貯蔵施設予定地内の保管場のモニタリング結果等を公開し、事業の透明性を高めているところである。また、除去土壌等の不法投棄や輸送車両の輸送ルートからの離脱がないよう監視を行っているところである。
 政府としては、引き続き、国民の不安が生じないよう努めてまいりたい。

一の2について

 中間貯蔵施設に関する用地の取得や当該施設の整備に当たっては、地権者を始めとする地域住民の理解を得ながら進めていくことが重要であると認識している。このため、中間貯蔵施設予定地内の土地の地権者の了解を得て、個別訪問や補償額算定のための物件調査等を進めているところである。
 政府としては、引き続き、地権者等への丁寧な説明を行ってまいりたい。

一の3及び4について

 福島県外での最終処分までの流れについては、平成二十六年七月に、国内外の研究・技術開発の動向把握、今後の研究・技術開発の方向性検討等を始めとする八段階に整理して公表しているところである。
 政府としては、引き続き、これに沿って、除去土壌等の減容化及び再生利用に関する研究及び技術開発等に取り組むとともに、福島県外での最終処分に関する国民的な理解の醸成に努めてまいりたい。

二の1について

 東京電力株式会社(以下「東京電力」という。)の福島第一原子力発電所(以下「福島第一原子力発電所」という。)の廃炉・汚染水対策については、東京電力、政府、原子力損害賠償・廃炉等支援機構、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構等の関係者が、各々の役割に基づき、連携を図り、必要な取組を進めていくことが重要であり、これまで、一部遅れや課題はあるものの、全体としては、進捗してきているものと認識している。
 政府としては、引き続き、平成二十七年六月十二日に廃炉・汚染水対策関係閣僚等会議において決定した「東京電力(株)福島第一原子力発電所の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」(以下「中長期ロードマップ」という。)に沿って、廃炉・汚染水対策に取り組んでまいりたい。

二の2について

 福島第一原子力発電所の現場で働く作業員の労働環境の改善は重要であり、これまで、東京電力や元請事業者との間で過去の労働災害の情報を共有するなど、適切な労働環境の実現に向けて東京電力への指導等を行ってきたところである。
 政府としては、中長期ロードマップに沿って、東京電力、元請事業者及び関係請負人によるリスクアセスメントの実施、東京電力等による体感型教育訓練施設の活用、現場巡視の強化等により、労働環境の更なる改善を図ってまいりたい。

二の3について

 福島第一原子力発電所の廃炉・汚染水対策を始め、原子力政策を講ずる上では、国民に対して、安全対策の取組、作業の進捗状況等を適切に伝えることが重要であり、これまで、政府としては、経済産業省のホームページ等を通じた情報公開に取り組むとともに、適切な情報公開について東京電力への指導等を行ってきたところである。
 政府としては、引き続き、適切な情報公開に必要な取組を進めてまいりたい。

二の4について

 原子力分野での国際貢献については、例えば、福島第一原子力発電所の廃炉・汚染水対策で得られたデータ等の積極的な情報発信を行い、国際社会に開かれた形で廃止措置等を進めることが重要であり、これまで、米国等との意見交換を行うとともに、国際原子力機関からの評価及び助言を受けてきたところである。
 政府としては、二国間又は多国間の枠組み等を通じて国際協力を進めてまいりたい。