質問主意書

第189回国会(常会)

答弁書


答弁書第一八七号

内閣参質一八九第一八七号
  平成二十七年七月三日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員中西健治君提出徴兵制に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員中西健治君提出徴兵制に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 政府としては、衆議院議員稲葉誠一君提出徴兵制問題に関する質問に対する答弁書(昭和五十五年八月十五日内閣衆質九二第四号)一及び二について等で累次にわたってお答えしているとおり、一般に、徴兵制度とは、国民をして兵役に服する義務を強制的に負わせる国民皆兵制度であって、軍隊を常設し、これに要する兵員を毎年徴集し、一定期間訓練して、新陳交代させ、戦時編制の要員として備えるものをいうと理解している。このような徴兵制度は、我が憲法の秩序の下では、社会の構成員が社会生活を営むについて、公共の福祉に照らし当然に負担すべきものとして社会的に認められるようなものでないのに、兵役といわれる役務の提供を義務として課されるという点にその本質があり、平時であると有事であるとを問わず、憲法第十三条、第十八条などの規定の趣旨からみて、許容されるものではないと解してきている。お尋ねの「新陳交代を前提としない一時的臨時的な戦時編成要員の徴集」の意味するところが必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、自衛隊にこのような制度を導入することは許容されるものではないと考えられる。

三について

 自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第八十九条第一項において準用する警察官職務執行法(昭和二十三年法律第百三十六号)第四条第一項は、人の生命若しくは身体に危険を及ぼし、又は財産に重大な損害を及ぼすおそれのある危険な事態がある場合において、その場に居合わせた者等に対し、危害防止のため通常必要と認められる措置をとることを命ずることができる旨を規定しているものであり、公共の福祉の観点から必要かつ合理的な範囲内で国民の権利を制限するものにとどまることから、憲法の規定に違反するものではないと考えている。

四について

 お尋ねは、憲法改正を前提とするものであると考えられるところ、憲法改正は、国会が発議し、国民投票により決せられるものであることから、政府においては、お答えすることは差し控えたい。