質問主意書

第189回国会(常会)

答弁書


答弁書第一七二号

内閣参質一八九第一七二号
  平成二十七年六月二十六日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員林久美子君提出特別養子縁組など家庭養護に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員林久美子君提出特別養子縁組など家庭養護に関する質問に対する答弁書

一について

 平成二十五年度福祉行政報告例による平成二十六年三月三十一日現在における①認定及び登録里親数、②児童が委託されている里親数、③里親に委託されている児童数について、里親全体、養子縁組を希望する里親及び養育里親の別にお示しすると、次のとおりである。
 里親全体 ①九千四百四十一世帯 ②三千五百六十世帯 ③四千六百三十六人
 養子縁組を希望する里親 ①二千七百六世帯 ②二百二十三世帯 ③二百二十七人
 養育里親 ①七千四百八十九世帯 ②二千八百四十世帯 ③三千五百二十六人
 また、平成二十五年度福祉行政報告例を基に計算すると、平成二十六年三月三十一日現在、児童養護施設及び乳児院(以下「児童養護施設等」という。)に入所措置されている児童及び児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号。以下「法」という。)第六条の三第八項に規定する小規模住居型児童養育事業を行う者又は法第六条の四第一項に規定する里親(以下「里親等」という。)に委託されている児童(以下「里親等に委託されている児童」という。)の合計数に占める里親等に委託されている児童の割合は、約十五・六パーセントである。

二について

 児童相談所が普通養子縁組及び特別養子縁組をあっせんした件数は、把握していない。
 厚生労働省雇用均等・児童家庭局家庭福祉課の調査によれば、養子縁組のあっせんを業として行う事業者が普通養子縁組をあっせんした人数は、平成二十年度は零人、平成二十一年度は一人、平成二十二年度は零人、平成二十三年度は九人、平成二十四年度は一人である。また、同事業者が特別養子縁組をあっせんした人数は、平成二十年度は四十二人、平成二十一年度は三十九人、平成二十二年度は六十七人、平成二十三年度は百二十七人、平成二十四年度は百十五人である。

三について

 お尋ねの「養子縁組成立前の里親委託解除、民間養子縁組あっせん事業者を通じたあっせん後の養子縁組成立前の児童の返還並びに児童相談所又は民間養子縁組あっせん事業者を通じた養子縁組の無効、取消し及び離縁に関し、その件数と割合」の意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難である。

四について

 お尋ねの「日本人児童が国外で外国人の養子となる国際養子縁組の件数」については、把握していない。

五及び七について

 養子縁組及び特別養子縁組についての沿革やこれに対する社会の意識等がそれぞれの国により様々であり、我が国と諸外国との間で単純に比較することは適当ではないと考えているが、平成二十七年度厚生労働科学研究費補助金による「国内外における養子縁組の現状と子どものウエルビーイングを考慮したその実践手続きのあり方に関する研究」において、諸外国における養子縁組のあっせんの実態や養子縁組のあっせんを業として行う事業者の実態、適切な事業運営の在り方について調査しているところであり、その結果も踏まえつつ我が国における養子縁組のあっせんの在り方について検討してまいりたい。

六について

 政府としては、平成二十七年度予算において、都道府県、政令指定都市又は児童相談所設置市が里親への研修等を行うことを内容とする里親支援機関事業を実施するとともに、児童養護施設等における里親支援担当職員の配置を進めるために必要な経費を計上する等、児童養護施設等に入所措置されている児童及び里親等に委託されている児童の合計数に占める里親等に委託されている児童の割合を高めるための取組を進めているところである。

八について

 御指摘の「乳児院を経ない新生児段階からの特別養子縁組を促進していくべき」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、「里親委託ガイドライン」(平成二十三年三月三十日付け雇児発〇三三〇第九号厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知)において、「未婚、若年出産など望まない妊娠による出産で養育できない・養育しないという保護者の意向が明確な場合には、妊娠中からの相談や出産直後の相談に応じ、出産した病院から直接里親の家庭へ委託する特別養子縁組を前提とした委託の方法が有用である。」としているところである。

九について

 政府としては、不妊治療を受けている者を含め幅広く国民に対して、特別養子縁組制度を周知していくことが重要であると考えている。

十について

 お尋ねの「社会的養護施設以外の施設において、本来の目的とは異なり、保護者がいない又は保護者に監護させることが適当でないことを理由として、入院等をしている児童の数」の意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難である。

十一の前段について

 児童相談所長が法第三十三条の七の規定により同条に規定する児童等の親権者に係る民法(明治二十九年法律第八十九号)第八百三十四条本文の規定による親権喪失の審判の請求を家庭裁判所に対し行い、家庭裁判所が親権喪失の審判をしたときは、当該児童等の父母の親権が喪失されることとなる。この場合において、当該児童等が十五歳未満であるときは、児童相談所長は、未成年後見人が選任されるまでの間、都道府県知事の許可を得て縁組の承諾をすることができ、当該児童等を養子とすることについて、父母の同意は要件とされていない。
 なお、養子となる者が十五歳以上の場合には、養子となる者が自ら縁組の承諾をすることができ、父母の承諾は要件とされていない。

十一の後段について

 政府としては、児童相談所長が、継続した生活環境や人間関係に基づくケアの観点や実親との関係などを考慮し、児童等にとって養子縁組をすることが最善の利益となると判断する場合には、養子縁組をするために必要な手続をすることが適当と考える。

十二の前段について

 政府としては、法第二十八条第一項においては、保護者が、その児童を虐待し、著しくその監護を怠り、その他保護者に監護させることが著しく当該児童の福祉を害する場合において、当該児童を小規模住居型児童養育事業を行う者若しくは里親に委託し、又は乳児院、児童養護施設、障害児入所施設、情緒障害児短期治療施設若しくは児童自立支援施設に入所させること(以下「里親等への委託又は施設への入所の措置」という。)が児童の親権を行う者又は未成年後見人(以下「親権者等」という。)の意に反するときは、都道府県は、保護者が親権者等であるときは、家庭裁判所の承認を得て、里親等への委託又は施設への入所の措置を採ることができ、また、保護者が親権者等でないときは、当該児童を親権者等に引き渡すこと(当該児童を親権者等に引き渡すことが児童の福祉のため不適当であると認めるときは、家庭裁判所の承認を得て、里親等への委託又は施設への入所の措置を採ること)ができ、御指摘のケースにおいては、同項の規定に基づき、当該児童にとって必要な措置を採ることができると考えている。

十二の後段について

 お尋ねについては、把握していない。