質問主意書

第189回国会(常会)

答弁書


答弁書第一六七号

内閣参質一八九第一六七号
  平成二十七年六月二十二日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員大久保勉君提出不在者投票施設の指定基準に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員大久保勉君提出不在者投票施設の指定基準に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「指定基準」は、「統一地方選挙の管理執行について」(平成十九年一月三十日付け総行管第十一号総務省自治行政局選挙部長通知)における「病院、老人ホーム等の不在者投票施設の指定基準」に関する記述(以下「通知における基準」という。)を指すものと考えられるが、これは、病院等の不在者投票施設における不在者投票が投票の秘密や選挙の公正を確保しながら適切に行われるためには、人的、物的に相当の規模の施設であることが必要であることから、設備や人手といった点を考慮し、おおむね五十人以上の人員を収容することができる規模を有することを、判断の一つの目安として示したものである。
 また、診療所は、医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第一条の五第二項において、「医師又は歯科医師が、公衆又は特定多数人のため医業又は歯科医業を行う場所であつて、患者を入院させるための施設を有しないもの又は十九人以下の患者を入院させるための施設を有するものをいう。」とされており、おおむね五十人以上の人員を収容することができる規模を有しないことから、指定の対象とはしていない。

二について

 不在者投票制度は、投票の秘密や選挙の公正を確保する観点から厳格な手続を定めているところであり、通知における基準にいう「不在者投票の適正な管理執行」とは、これらの手続が遵守され、投票の秘密や選挙の公正が確保された管理執行をいうものである。
 また、「地域の実情」とは、各地域における不在者投票施設の指定の検討対象となる施設の状況等をいうものである。

三について

 お尋ねの「補助金等」がどのようなものを指すのか必ずしも明らかではないが、指定された病院等で不在者投票が行われた場合には、その経費について、国政選挙においては国庫により、地方公共団体の議会の議員又は長の選挙においては当該地方公共団体により負担されるものである。

四について

 お尋ねの「申請を促す施策」がどのようなものを指すのか必ずしも明らかではないが、総務省としては、選挙人の投票機会を確保するため、国政選挙及び統一地方選挙に際し、各選挙管理委員会に対し、それぞれの地域の実情を踏まえ、不在者投票施設の適切な指定がなされるよう要請しているところである。

五から九までについて

 総務省としては、お尋ねの「今年の統一地方選挙で不在者投票施設に指定された数と割合」、「今年の統一地方選挙での説明会への出席状況」及び不在者投票施設の施設種別の「昨年の衆議院議員総選挙での投票率」については把握しておらず、これらに関する見解をお示しすることも困難である。
 また、お尋ねの「説明会への出席率を向上させる施策」については、総務省としては行っていない。

十について

 病院等における不在者投票は、投票日当日に病院等に入院、入所していることにより、自ら投票所に出向いて投票することができない選挙人のため、直接の選挙管理機関ではない病院等の施設の長の下で実施されるものである。さらに、病院等の施設においては、各選挙人に代わって各選挙人が登録されている市町村の選挙管理委員会に対して投票用紙等の交付の請求をすること、投票記載場所に相当の設備をすること、立会人を選任し、不在者投票に立ち会わせること、選挙人から受け取った投票を各選挙人が登録されている市町村の選挙管理委員会に送致することなど、多岐にわたる事務を処理しているものである。
 御指摘の「当該施設の入院患者や入居者等以外であっても不在者投票を受け付けること」については、病院等における不在者投票制度が、投票日当日に病院等に入院、入所していることにより、自ら投票所に出向いて投票することができない選挙人のために例外として設けられたものであることや、前記の事務に加え病院等の施設の人員や場所等の確保のために更なる負担が生ずるという問題があることを踏まえ、慎重に検討すべきものと考える。