質問主意書

第189回国会(常会)

答弁書


答弁書第一五六号

内閣参質一八九第一五六号
  平成二十七年六月十六日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員吉田忠智君提出国鉄共済年金に係る附帯決議の履行等に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員吉田忠智君提出国鉄共済年金に係る附帯決議の履行等に関する再質問に対する答弁書

一について

 日本国有鉄道(以下「旧国鉄」という。)の職員のうち、被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律(平成二十四年法律第六十三号。以下「被用者年金一元化法」という。)の施行に伴う年金額改定の対象となる可能性のある者については、現在その件数を把握する作業を行っているところであり、お尋ねの「一九五六年六月三十日以前の在職者数」及び「一九五六年六月三十日以前の在職者で恩給対象者と共済年金対象者数」については、現時点でお答えすることは困難である。

二について

 昭和三十一年六月以前の在職期間を有する旧国鉄の年金受給者には、国家公務員に適用された恩給法(大正十二年法律第四十八号)及び国家公務員共済組合法(昭和二十三年法律第六十九号。以下「旧国共済法」という。)が準用され、国鉄共済年金における恩給期間等に係る年金の給付に要する費用(以下「追加費用」という。)については、旧国鉄の民営化以前は事業主たる旧国鉄の負担とされており、民営化後は日本国有鉄道清算事業団(現在は、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構(以下「鉄道・運輸機構」という。))の負担とされたところであり、戦後の南満州鉄道株式会社等からの大量採用に伴う年金の費用も主としてこの中に含まれていることから、御指摘の「戦後の引き揚げ者や旧軍人等が政府の要請によって国鉄に採用してもらった」ことが、国鉄共済年金の財政悪化の直接の要因ではないと承知している。

三について

 お尋ねについては、それぞれの質問が関連していることから、当該複数の質問に対してまとめてお答えしたところである。

四について

 お尋ねについては、先の答弁書(平成二十七年四月二十八日内閣参質一八九第一一四号。以下「前回答弁書」という。)四から六まで及び十についてでお答えしたとおり、国鉄共済年金の給付に要する費用を他の共済年金や厚生年金で負担する状況に鑑み、国鉄共済年金の額を百十分の百とする旨が、そして、当分の間、職域加算額に相当する部分を支給しない旨が法律で定められているところであり、政府としては、御指摘の「回復することは困難である」と判断しているところである。

五について

 お尋ねについては、国鉄共済年金の給付に要する費用を他の共済年金や厚生年金で負担する状況に鑑み、厚生年金保険法等の一部を改正する法律(平成八年法律第八十二号。以下「八年法」という。)附則第十七条第一項又は第三十三条第八項の規定によりなおその効力を有するものとされた八年法第二条の規定による改正前の国家公務員等共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号)附則第二十条の二第二項の規定において、職域加算額に相当する部分を支給しない期間を「当分の間」とする旨定められていると理解しており、具体的な期間についてお答えするのは困難である。

六について

 お尋ねの「財政調整事業を実施している期間は停止する旨」の規定は、国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律(平成元年法律第九十三号)第一条の規定により、当分の間、職域加算額に相当する部分を支給しない旨に改正されている。

七について

 前回答弁書四から六まで及び十についてでお答えしたとおり、「職域部分の支給」を回復することは困難であると考えている。

八について

 国鉄共済年金の給付に要する費用を他の共済年金や厚生年金で負担する状況に鑑み、厚生年金統合後の保険料率について八年法附則第十八条第二項の規定による保険料率の特例を適用していたところであるが、平成二十一年九月以降は厚生年金保険料率と同率となっており、また、支給額については、厚生年金相当の額は確保されていることから、お尋ねの「公正・公平と言えるのか」について問題はないと考えている。

九について

 お尋ねについては、国鉄共済年金の場合、昭和三十一年六月以前の期間に係る費用については追加費用として事業主である鉄道・運輸機構が負担している。

十について

 お尋ねの前回答弁書八についてでお答えした昭和三十一年六月以前の在職期間を有する旧国鉄の年金受給者について行う被用者年金一元化法による追加費用の削減額については、一定の配慮措置があるなど、個々に計算する必要があることから、当該削減額の見込みは把握していない。

十一について

 前回答弁書九についてで「昭和三十一年三月以前」と述べたのは、「昭和三十一年六月以前」の誤りであり、訂正する。

十二について

 お尋ねについては、前回答弁書九についてでお答えしたとおり、国家公務員の場合、昭和三十三年以前に適用されていた旧国共済法の年金は、当初より年金改定に伴う増加費用は国が負担することとされるなど、恩給制度に準じた仕組みになっており、現在も、追加費用は、旧国共済法が適用されていた者に支給される共済年金にも充てられ、国等が負担している。このため、国家公務員の場合、旧国共済法が適用されていた期間に係る年金については、被用者年金一元化法により減額の対象とされている。
 国鉄共済年金の場合も、追加費用については、事業主である鉄道・運輸機構が負担していることから、国家公務員の場合と同様に、旧国共済法が準用されていた期間に係る年金が減額の対象とされているものである。

十三について

 前回答弁書十一についてにおいて「公平性を確保する」とお答えした趣旨は、被用者年金一元化法により、厚生年金保険給付及びそれに相当する給付に係る保険料率を厚生年金保険料率に統一すること、職域部分を廃止すること等により、民間被用者、公務員を通じ、将来に向けて、同一の報酬であれば同一の保険料を負担し、同一の公的年金給付を受けるという公平性を確保するという旨を述べたものである。前回答弁書四から六まで及び十についてでお答えしたとおり、お尋ねの「十%の削減と職域部分の支給停止」を回復することは困難であると考えているが、前述の趣旨に鑑みれば、このことが公平性の確保に反するものとは考えておらず、また、国鉄共済年金に係る附帯決議の履行等に関する質問主意書(平成二十七年四月二十一日提出質問第一一四号)十一においてお示しの「附帯決議」についても、その趣旨を尊重しているものと考えている。