質問主意書

第189回国会(常会)

答弁書


答弁書第一三六号

内閣参質一八九第一三六号
  平成二十七年六月二日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員福島みずほ君提出番号法、個人情報保護法に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員福島みずほ君提出番号法、個人情報保護法に関する質問に対する答弁書

一の1について

 お尋ねの「捜査関係事項照会の際に、個人番号により照会すること」は、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成二十五年法律第二十七号。以下「法」という。)第十九条第十二号に該当する適法な特定個人情報の提供になり得る。また、お尋ねの「個人番号が付いていなければ警察等に提供されない個人情報が、個人番号が付き特定個人情報となることにより提供可能になる」については、その意味するところが必ずしも明らかではなく、お答えすることは困難である。

一の2及び3について

 法第十九条第十二号の刑事事件の捜査が行われる場合等における特定個人情報の提供及び提供を受け、又は取得した特定個人情報の取扱いについては、法第五十条から第五十二条までの規定は適用されず、また、当該特定個人情報は、法附則第六条第五項に規定する情報提供等記録開示システムの対象とはならない。一方、当該特定個人情報に係る特定個人情報ファイルを保有しようとするときは、法第二十七条の規定により特定個人情報保護評価を実施する必要がある。また、刑事事件の捜査において押収された資料等については、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)その他の関係法令に基づき適切に取り扱われるものと考えている。

一の4について

 法第十九条第十二号に該当して特定個人情報の提供を受けた者は、法第九条第五項の規定により、その提供を受けた目的を達成するために必要な限度で個人番号を利用することができることとされているが、その目的と限度の関係については、個別具体的な事案に即して判断されるべきものであり、あらかじめお尋ねの「判断基準」をお示しすることは困難である。

一の5について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難である。
 なお、御指摘の「破壊活動防止法第二十九条による公安調査庁と警察庁及び都道府県警察との間の特定個人情報を含む情報又は資料の交換」については、法第十九条第十二号に該当せず、認められていない。

一の6について

 特定秘密の保護に関する法律(平成二十五年法律第百八号)第十二条の規定による適性評価の実施においては、現時点で特定個人情報を利用する必要性はないと考えている。

二について

 特定の個人を識別することができないように個人情報を加工して得られる匿名加工情報については、個人情報に該当しないことから、個人情報に関して設けられた本人に認められる権利等に関する規定の適用はない。

三の1について

 御指摘の場合に、事業者が従業者等に給与等を支払わないことは、お尋ねの「労働関係法規」上許されるものではない。また、事業者が従業者等に給与等を支払うこと自体は国税に関する法令に抵触するものではないが、そのことが、所得税法(昭和四十年法律第三十三号)等の規定により、従業者等が申告書等に個人番号を記載する義務を免除するものではない。

三の2及び3について

 法第十六条において、個人番号利用事務等実施者は、法第十四条第一項の規定により本人から個人番号の提供を受けるときは、本人確認の措置をとらなければならないものとされているが、所得税法第百九十四条第一項の規定により扶養控除等申告書を提出しなければならないこととされている給与等の支払を受ける者は、法第二条第十三項に規定する個人番号関係事務実施者に該当するため、法第十六条の規定により、個人番号利用事務等実施者として当該扶養控除等申告書に配偶者等の個人番号を記載するためにその提供を受ける際に本人確認の措置をとることとなる。また、本人確認の措置については、必ずしも対面で行う必要はなく、電子情報処理組織を使用して個人番号を提供する場合には、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律施行規則(平成二十六年内閣府・総務省令第三号)第四条の規定により地方公共団体情報システム機構による電子署名を要するなど、送受信の際の情報漏えいの防止を図った上で個人番号及び個人識別事項に係る情報を送信する方法も認めることとしている。

三の4について

 御指摘の「リスクを回避できる制度」については承知しておらず、そのような制度を導入することは考えていない。

三の5について

 法や国税に関する法令において個人番号の漏えいや悪用を防止するための仕組みは十分に整備されており、御指摘の「手に負えなくなる危険がある」とは考えていない。また、御指摘の「仕組み」については承知しておらず、そのような制度を導入することは考えていない。

三の6について

 御指摘の「個人番号の不適切利用等」に係る罰則が適用される要件については、法において明確に定められている。また、御指摘の「番号制」や「番号政策」を実施することは考えていない。

三の7について

 法第二条第十四項に規定する行政機関の長等は、特定個人情報ファイルを保有しようとするときは、法第二十七条の規定により特定個人情報保護評価を実施する必要があるが、同条第一項に規定する評価書には、特定個人情報の漏えいその他の事態を発生させる主なリスクについて分析し、このようなリスクを軽減するための措置についての記載がされている。

三の8について

 お尋ねについては、個別具体的な状況に即して判断されるものであり一概にお答えすることは困難であるが、国家賠償法(昭和二十二年法律第百二十五号)等に基づき適切に対応することとなる。