質問主意書

第189回国会(常会)

答弁書


答弁書第一三二号

内閣参質一八九第一三二号
  平成二十七年五月二十二日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員大久保勉君提出国債の繰上償還可能性についての券面記載事項に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員大久保勉君提出国債の繰上償還可能性についての券面記載事項に関する再質問に対する答弁書

一について

 御指摘の三銘柄(以下「三銘柄」という。)の振替国債について、①平成二十七年三月末時点の発行残高(額面金額の合計額)及び②同月末時点の時価の合計額を銘柄ごとにお示しすると、次のとおりである。
 利付国庫債券(二十年)(第三十一回) ①五千九百八十億円 ②約六千百八十二億七千二百万円
 利付国庫債券(二十年)(第三十五回) ①三千八百七十一億二千万円 ②約四千百十九億七千三百万円
 利付国庫債券(二十年)(第四十一回) ①五千九百八十五億千五百万円 ②約六千三百十九億七千二百万円

二について

 三銘柄について、証券として市中に流通している国債(以下「現物債」という。)における、平成二十七年三月末時点の時価の合計額の発行残高に対する比率を銘柄ごとにお示しすると、次のとおりである。また、三銘柄の振替国債における同比率も現物債の比率と同一である。
 利付国庫債券(二十年)(第三十一回) 約一・〇三三九
 利付国庫債券(二十年)(第三十五回) 約一・〇六四二
 利付国庫債券(二十年)(第四十一回) 約一・〇五五九

三について

 三銘柄を含め、平成十五年三月三十一日までに起債された現物債は、社債、株式等の振替に関する法律(平成十三年法律第七十五号)附則第十九条の規定に基づき、振替受入簿に記載され、又は記録されたものについては、振替国債とみなして同法が適用される。
 また、現物債が、同法上、振替国債とみなされた場合、国と当該国債保有者との間に新たな契約が必要となるものではない。

四について

 平成十年十二月以前に発行され、発行時の発行条件に繰り上げて償還することがある旨の記載(以下「繰上償還条項」という。)が付されている、未償還の振替国債の銘柄をお示しすると、次のとおりである。
 利付国庫債券(二十年)(第二十九回)
 利付国庫債券(二十年)(第三十回)
 利付国庫債券(二十年)(第三十一回)
 利付国庫債券(二十年)(第三十二回)
 利付国庫債券(二十年)(第三十三回)
 利付国庫債券(二十年)(第三十四回)
 利付国庫債券(二十年)(第三十五回)
 利付国庫債券(二十年)(第三十六回)
 利付国庫債券(二十年)(第三十七回)
 利付国庫債券(二十年)(第三十八回)
 利付国庫債券(二十年)(第三十九回)
 利付国庫債券(二十年)(第四十回)
 利付国庫債券(二十年)(第四十一回)

五について

 御指摘の「国の財産上の権利を放棄すること」の意味するところが必ずしも明らかでないが、政府として、国債規則(大正十一年大蔵省令第三十一号)第七条の規定に基づき、平成十年十二月二十二日に公布された大蔵省告示第五百五十四号により、国債証券の様式の要項を定める件の備考のひな形から、繰上償還条項を削除する改正を実施する前から、国会答弁において、国債の繰上償還の実施は国債消化に重大な支障を生ずるおそれがあること等から適当ではない旨繰り返し表明してきたところであり、先の答弁書(平成二十七年四月二十八日内閣参質一八九第一一三号)二についてにおいても、そうした従来からの政府の見解をお示ししているところである。

六について

 平成十年十二月以前に発行された振替国債については、国債の発行等に関する省令(昭和五十七年大蔵省令第三十号)第五条第十一項等の規定に基づき告示することとされている発行条件として繰上償還の可能性が公表されていたところであり、また、大蔵省(当時)による平成十年十二月四日の「平成十年度国債発行予定額」の新聞発表に際して、「繰上償還条項の発動を行わない」旨を公表したところである。
 なお、当該振替国債を含む平成十年十二月以前に発行された国債の繰上償還条項の取扱いについては、国会答弁において、繰上償還を実施することは適当ではない旨繰り返し表明してきたところであり、さらに、財務省ホームページ上に繰上償還は実施しない旨記載し、市場参加者に対し発行当局の考え方を広く周知しているところである。

七について

 政府として、平成十年十二月以前に発行された国債について繰上償還を実施することは適当でないと考えており、仮定の質問についてお答えすることは差し控えたい。