質問主意書

第189回国会(常会)

答弁書


答弁書第一二五号

内閣参質一八九第一二五号
  平成二十七年五月十二日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員浜田和幸君提出養子縁組に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浜田和幸君提出養子縁組に関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の条約は、養子縁組をする子の最善の利益を確保する国際的な協力体制の構築等を図ることを目的としているところ、御指摘の条約を締結するためには、養子縁組を承認するなどの権限を行使する中央当局の指定を含め、養子縁組をする子の最善の利益を確保するとともに不適切な養子縁組のあっせん等を防止する観点から、関係省庁間の協力体制を整備するなどの必要があり、締結の実現可能性について更に検討を続けていく必要があるものと認識している。

二について

 福祉行政報告例によると、児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第二十七条第一項第三号の規定に基づく里親への委託を実施した件数は、平成二十一年度が千四百二十件、平成二十二年度が千六百件、平成二十三年度が千九百五十一件、平成二十四年度が千六百五十二件、平成二十五年度が千六百七十三件である。
 司法統計年報によると、特別養子縁組の成立の件数は、平成二十一年が三百二十六件、平成二十二年が三百二十五件、平成二十三年が三百七十四件、平成二十四年が三百三十九件、平成二十五年が四百七十四件である。
 特別養子縁組以外の養子縁組の件数については、把握していない。
 また、お尋ねの「国際養子縁組による出入国の件数」についても、把握していない。

三について

 お尋ねの統計については、把握していない。
 また、お尋ねの「養子縁組についての実情を把握する制度」の意味するところが必ずしも明らかではないため、これについてお答えすることは困難である。

四について

 養子縁組のあっせんを業として行うことは、社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)第二条第三項に規定する第二種社会福祉事業に該当し、国及び都道府県(指定都市及び中核市を含む。以下四についてにおいて同じ。)以外の者が当該事業を開始したときは、同法第六十九条第一項の規定に基づき、事業経営地の都道府県知事(指定都市又は中核市においては、指定都市又は中核市の市長。以下同じ。)に届け出なければならないこととされ、同項の規定に違反して当該事業を経営する者が、その事業に関し不当に営利を図る行為をしたとき等は、同法第七十二条第三項の規定に基づき、都道府県知事が、その者に対し、当該事業を経営することを制限し、又はその停止を命ずることができることとされている。また、児童福祉法第三十四条第一項第八号は、成人及び児童のための正当な職業紹介の機関以外の者が、営利を目的として、児童の養育をあっせんする行為を禁止している。
 御指摘の養子縁組あっせん事業の「監督機能」については、これらの規定等に加えて、「養子縁組あっせん事業の指導について」(平成二十六年五月一日付け雇児発〇五〇一第三号厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知)等に基づき、都道府県において、当該事業を経営する者が養子の養育を希望する者等から受け取る金品等に関する適切な指導の実施を求めているところであり、引き続き、事業運営の透明性の確保等を図ってまいりたい。

五について

 御指摘の「養子縁組を行いやすい環境整備」の意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難である。なお、未成年者を養子とする縁組が成立した場合には、養親は、親権者として養子を監護し、これを扶養する義務を負うことになるため、都道府県、指定都市又は児童相談所設置市(以下「都道府県等」という。)から児童を委託された里親とは異なり、都道府県等が養子の養育に要する費用を支弁することは困難である。

六について

 お尋ねの「国内における養子縁組希望者数」については、把握していない。
 また、「その数を一元的に把握し、斡旋するための体制を整備すべき」との御指摘については、その意味するところが必ずしも明らかではないため、これについてお答えすることは困難である。

七について

 平成二十五年度の福祉行政報告例によると、同年度に児童相談所が児童の福祉に関する相談に応じた件数は三十九万千九百九十七件であり、そのうち、児童福祉法第二十七条第一項第三号の規定に基づく入所措置を実施した件数は九千九百八十八件、同号の規定に基づく里親への委託を実施した件数は千六百七十三件である。また、お尋ねの「養子縁組(養子縁組里親を含む)の斡旋」の意味するところが必ずしも明らかではないが、同年度の福祉行政報告例によると、同年度に養子縁組の成立を理由に里親への委託を解除された児童の数は二百九十六人である。