質問主意書

第189回国会(常会)

答弁書


答弁書第一一四号

内閣参質一八九第一一四号
  平成二十七年四月二十八日

内閣総理大臣臨時代理           
国務大臣 麻生 太郎   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員吉田忠智君提出国鉄共済年金に係る附帯決議の履行等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員吉田忠智君提出国鉄共済年金に係る附帯決議の履行等に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの旧三公社(日本国有鉄道(以下「旧国鉄」という。)、日本電信電話公社及び日本専売公社をいう。)の職員に対応する政令については、現在、被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律(平成二十四年法律第六十三号。以下「被用者年金一元化法」という。)の平成二十七年十月一日の施行に向けて、関係省庁において、必要な政令案の作成を行っているところであり、日本年金機構及び日本鉄道共済組合等の関係機関との調整を経て、閣議決定を行う予定である。
 旧国鉄の職員への対応として、被用者年金一元化法に対応するためのシステム改修については、現在、厚生労働省、日本年金機構及び日本鉄道共済組合において進めているところであり、平成二十七年九月をめどに完了する予定である。また、旧国鉄の職員への広報については、日本年金機構及び日本鉄道共済組合において、平成二十七年八月までをめどに、被用者年金一元化法の内容等について、ホームページに掲載する予定であるとともに、被用者年金一元化法に係る政省令については、官報をもって公布する。さらに、旧国鉄の職員への本人通知については、日本年金機構においては平成二十七年八月をめどに、日本鉄道共済組合においては平成二十七年六月をめどに、年金額改定の対象となる可能性がある者に対して、被用者年金一元化法の内容等についてのお知らせ(以下「お知らせ」という。)を送付する予定である。

二について

 お尋ねの「一九九七年三月三十一日以前の受給者数」、「一九九七年四月一日以降の受給者数」及び「遺族年金受給者数」の意味するところが必ずしも明らかではないが、平成二十六年三月三十一日時点における受給権が発生した者の件数は、二十七万三千五百三十三件であり、平成二十六年三月三十一日時点における遺族年金等の受給権が発生した者の件数は、十五万千七百六十四件である。お尋ねの「一九五六年六月三十日以前の在職者のうち恩給対象者数と国家公務員共済組合対象者数」の意味するところが必ずしも明らかではないが、お知らせの送付に当たっては、年金額改定の対象となる可能性のある者の数を把握する必要があり、現在その作業を行っているところである。

三について

 お尋ねの「国鉄共済年金の財政危機の真の原因」の意味するところが必ずしも明らかではないが、国鉄共済年金の財政が悪化した原因については、第一に、給付内容が厚生年金や国家公務員の共済年金よりも有利になっていたこと、退職時特別昇給を年金額に直接反映させていたこと、その成熟度に見合った保険料引上げの努力が必ずしも十分ではなかったこと等、国鉄共済年金の制度及び運営等に起因する問題が、第二に、モータリゼーションの進行を背景として旧国鉄が雇用を縮小せざるを得ず、その結果、国鉄共済年金の財政の支え手である現役の組合員数が著しく減少したという産業構造の変化等に起因する問題があったと承知している。

四から六まで及び十について

 国鉄共済年金の給付に要する費用を他の共済年金や厚生年金で負担する状況に鑑み、厚生年金保険法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置に関する政令(平成九年政令第八十五号)第二十七条第一項の規定により読み替えられた厚生年金保険法等の一部を改正する法律(平成八年法律第八十二号。以下「八年法」という。)附則第十七条第三項の規定によりなおその効力を有するものとされた八年法附則第七十八条の規定による改正前の国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律(昭和六十年法律第百五号)附則第五十一条第一項の規定により読み替えられた同法附則第三十五条第一項、第四十条第一項、第四十二条第二項及び第四十六条第一項の規定において、国鉄共済年金の額を百十分の百とする旨が、そして、八年法附則第十七条第一項又は第三十三条第八項の規定によりなおその効力を有するものとされた八年法第二条の規定による改正前の国家公務員等共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号)附則第二十条の二第二項の規定において、当分の間、職域加算額に相当する部分を支給しない旨が定められているところであり、お尋ねの「十%の給付」及び「職域部分の支給」を回復することは困難であると考えている。

七について

 昭和五十九年度以降の本人負担分の保険料率について、①日本鉄道共済組合(国鉄共済組合を含む。)、②国家公務員共済組合連合会(一般組合員)、③エヌ・ティ・ティ企業年金基金(日本電信電話公社共済組合、日本電信電話共済組合及びエヌ・ティ・ティ厚生年金基金を含む。)、④厚生年金(一般男子)ごとの、昭和五十九年度以降の推移は次のとおりである。
 なお、平成二十六年度までの各年度については各年度末の本人負担分の保険料率を、平成二十七年度については被用者年金一元化法の施行前である平成二十七年九月の本人負担分の保険料率を記載している。また、日本鉄道共済組合及び日本電信電話共済組合は平成九年四月に厚生年金保険に統合されており、厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)における保険料率は、被保険者及び被保険者を使用する事業主の負担する保険料額の合計を基に算出されているため、本人負担分の保険料は機械的に同法における保険料率に二分の一を乗じて得た率を記載している。被用者年金各制度の平成十四年度までの保険料率は賞与を除く標準報酬月額ベースの数値であり、平成十五年度以降は賞与を含む標準報酬額ベースの数値である。
 昭和五十九年度 ①千分の百二・〇 ②千分の七十一・二 ③千分の六十六・〇 ④千分の五十三・〇
 昭和六十年度 ①千分の百二・〇 ②千分の七十六・五 ③千分の七十一・三 ④千分の六十二・〇
 昭和六十一年度 ①千分の八十四・九五 ②千分の六十一・三 ③千分の五十八・二 ④千分の六十二・〇
 昭和六十二年度 ①千分の八十四・九五 ②千分の六十一・三 ③千分の五十八・二 ④千分の六十二・〇
 昭和六十三年度 ①千分の八十四・九五 ②千分の六十一・三 ③千分の五十八・二 ④千分の六十二・〇
 平成元年度 ①千分の八十四・九五 ②千分の七十六・〇 ③千分の七十・一 ④千分の七十一・五
 平成二年度 ①千分の九十五・四五 ②千分の七十六・〇 ③千分の七十・一 ④千分の七十二・五
 平成三年度 ①千分の九十五・四五 ②千分の七十六・〇 ③千分の七十・一 ④千分の七十二・五
 平成四年度 ①千分の九十五・四五 ②千分の七十六・〇 ③千分の七十・一 ④千分の七十二・五
 平成五年度 ①千分の九十五・四五 ②千分の七十六・〇 ③千分の七十・一 ④千分の七十二・五
 平成六年度 ①千分の九十五・四五 ②千分の八十七・二 ③千分の八十一・三 ④千分の八十二・五
 平成七年度 ①千分の九十七・九五 ②千分の八十七・二 ③千分の八十一・三 ④千分の八十二・五
 平成八年度 ①千分の百・四五 ②千分の九十一・九五 ③千分の八十六・〇五 ④千分の八十六・七五
 平成九年度 ①千分の百・四五 ②千分の九十一・九五 ③千分の八十六・七五 ④千分の八十六・七五
 平成十年度 ①千分の百・四五 ②千分の九十一・九五 ③千分の八十六・七五 ④千分の八十六・七五
 平成十一年度 ①千分の百・四五 ②千分の九十一・九五 ③千分の八十六・七五 ④千分の八十六・七五
 平成十二年度 ①千分の百・四五 ②千分の九十一・九五 ③千分の八十六・七五 ④千分の八十六・七五
 平成十三年度 ①千分の百・四五 ②千分の九十一・九五 ③千分の八十六・七五 ④千分の八十六・七五
 平成十四年度 ①千分の百・四五 ②千分の九十一・九五 ③千分の八十六・七五 ④千分の八十六・七五
 平成十五年度 ①千分の七十八・四五 ②千分の七十一・九 ③千分の六十七・九 ④千分の六十七・九
 平成十六年度 ①千分の七十八・四五 ②千分の七十二・五四五 ③千分の六十九・六七 ④千分の六十九・六七
 平成十七年度 ①千分の七十八・四五 ②千分の七十三・一九 ③千分の七十一・四四 ④千分の七十一・四四
 平成十八年度 ①千分の七十八・四五 ②千分の七十三・八三五 ③千分の七十三・二一 ④千分の七十三・二一
 平成十九年度 ①千分の七十八・四五 ②千分の七十四・四八 ③千分の七十四・九八 ④千分の七十四・九八
 平成二十年度 ①千分の七十八・四五 ②千分の七十五・一二五 ③千分の七十六・七五 ④千分の七十六・七五
 平成二十一年度 ①千分の七十八・五二 ②千分の七十五・七七 ③千分の七十八・五二 ④千分の七十八・五二
 平成二十二年度 ①千分の八十・二九 ②千分の七十七・五四 ③千分の八十・二九 ④千分の八十・二九
 平成二十三年度 ①千分の八十二・〇六 ②千分の七十九・三一 ③千分の八十二・〇六 ④千分の八十二・〇六
 平成二十四年度 ①千分の八十三・八三 ②千分の八十一・〇八 ③千分の八十三・八三 ④千分の八十三・八三
 平成二十五年度 ①千分の八十五・六〇 ②千分の八十二・八五 ③千分の八十五・六〇 ④千分の八十五・六〇
 平成二十六年度 ①千分の八十七・三七 ②千分の八十四・六二 ③千分の八十七・三七 ④千分の八十七・三七
 平成二十七年度 ①千分の八十九・一四 ②千分の八十六・三九 ③千分の八十九・一四 ④千分の八十九・一四

八について

 昭和三十一年六月以前の在職期間を有する旧国鉄の年金受給者には、国家公務員に適用された恩給法(大正十二年法律第四十八号)及び国家公務員共済組合法(昭和二十三年法律第六十九号。以下「旧国共済法」という。)が準用され、国鉄共済年金における恩給期間等に係る年金の給付に要する費用(以下「追加費用」という。)は、国家公務員同様に、事業主が負担している。
 当該事業主として、国家公務員については国等が、旧国鉄の職員については、旧国鉄等の債務を承継した独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構(以下「鉄道・運輸機構」という。)が追加費用を負担しているが、同一制度の下で事業主の負担により支給がなされていることから、被用者年金一元化法により、国鉄共済年金の恩給期間等に係る年金についても、国家公務員の場合と同様に減額を行うこととされている。

九について

 国家公務員の場合、昭和三十三年以前に適用されていた旧国共済法の年金は、当初より年金改定に伴う増加費用は国が負担することとされるなど、恩給制度に準じた仕組みになっており、現在も、追加費用は、旧国共済法が適用されていた者に支給される共済年金にも充てられ、国等が負担している。このため、国家公務員の場合、旧国共済法が適用されていた期間に係る年金については、被用者年金一元化法により減額の対象とされている。
 国鉄共済年金の場合も、恩給法が準用されていた期間のほか、昭和三十一年三月以前の旧国共済法が準用されていた期間に係る費用については、追加費用として事業主である鉄道・運輸機構が負担している。
 このことから、国家公務員の場合と同様に、旧国共済法が準用されていた期間も年金の減額の対象とされているものである。

十一について

 お尋ねについて、政府としては、被用者年金一元化法により被用者年金制度の一元化を図り、民間被用者、公務員を通じ、将来に向けて、同一の報酬であれば同一の保険料を負担し、同一の公的年金給付を受けるという公平性を確保することとしている。