質問主意書

第189回国会(常会)

答弁書


答弁書第五五号

内閣参質一八九第五五号
  平成二十七年三月十日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員川田龍平君提出再処理工場における高レベル放射性廃液の危険性と六ヶ所再処理工場のアクティブ試験の審査に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員川田龍平君提出再処理工場における高レベル放射性廃液の危険性と六ヶ所再処理工場のアクティブ試験の審査に関する質問に対する答弁書

一の1について

 独立行政法人日本原子力研究開発機構(以下「原子力機構」という。)によれば、原子力機構の核燃料サイクル工学研究所再処理施設(以下「東海再処理施設」という。)における高レベル放射性液体廃棄物(以下「高レベル廃液」という。)の固化及び安定化の進捗状況については、現在、東海再処理施設の運転準備を進めているところであり、平成二十七年度中にガラス固化処理を開始する予定とのことである。政府としては、これらの作業が安全かつ早期に終了するよう、原子力機構に対し、必要に応じて指導を行ってまいりたい。

一の2について

 平成二十七年三月四日時点における日本原燃株式会社(以下「日本原燃」という。)の再処理事業所再処理施設(以下「六ヶ所再処理施設」という。)における高レベル廃液の貯蔵量については、日本原燃から、約二百二十三立方メートルであると聞いており、また、当該高レベル廃液に含まれる放射性核種について、確認できる範囲でお示しすると、ルテニウム一〇六、アンチモン一二五、セシウム一三四、セシウム一三七、ユウロピウム一五四、アメリシウム二四一及びキュリウム二四四であると聞いている。また、平成二十三年六月九日付けで日本原燃から提出された「福島第一、第二原子力発電所等の事故を踏まえた再処理施設の緊急安全対策に係る実施状況報告(改正版)」においては、「全交流電源供給機能が喪失した場合、現在貯槽に保有している高レベル濃縮廃液及びプルトニウム濃縮液が沸騰に至るまでの時間は一日程度」、「全交流電源供給機能が喪失した場合、水素濃度が可燃限界濃度に達するまでの時間が最も早い機器(高レベル廃液混合槽)で三十五時間程度」と評価されていることは承知している。なお、お尋ねの「六ヶ所再処理工場における高レベル放射性廃液」の「放射線量」については、何を指すのか明らかではなく、お答えすることは困難である。
 お尋ねの六ヶ所再処理施設の高レベル廃液の固化計画については、承知していない。
 また、御指摘の原子力機構の東海再処理施設における高レベル廃液に含まれるストロンチウム九〇及びイットリウム九〇の濃度については、平成二十五年十月二十九日に原子力規制庁が実施した「独立行政法人日本原子力研究開発機構再処理施設における潜在的ハザードの実態把握にかかるヒアリング」において、原子力機構から提出されたデータであり、法令等に基づいて提出を求めているものではなく、「日本原燃がこれを報告していないことは不誠実な対応であり厳重に注意すべきである」との御指摘は当たらないものと考えている。
 さらに、お尋ねの「日本原燃へ早期に廃液の固化を求める必要性」については、平成二十六年一月七日付けで、日本原燃から、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号。以下「原子炉等規制法」という。)第四十四条の四第一項の規定に基づく再処理事業に係る変更の許可を求める申請(以下「再処理事業変更許可申請」という。)がなされており、六ヶ所再処理施設について、原子力規制委員会において、原子炉等規制法第四十四条の二第一項第四号の規定に基づき定められている再処理施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則(平成二十五年原子力規制委員会規則第二十七号)等(以下「新規制基準」という。)に係る適合性審査を進めているところである。

一の3について

 政府としては、六ヶ所再処理施設の高レベル廃液について、冷却機能の確保が重要と考えており、今後の新規制基準に係る適合性審査において確認してまいりたい。

二の1及び2について

 平成二十五年七月二十六日付けで、日本原燃から、「再処理施設アクティブ試験におけるガラス固化試験結果等に係る報告について」が提出されたが、同年十二月から再処理設備及びその附属施設(以下「再処理施設」という。)に係る新たな規制基準が適用される予定であったことから、原子力規制委員会としては、当該基準に係る適合性審査を優先して行うことが必要であると判断し、当該報告に関する内容について確認は行っていない。
 一方、平成二十六年一月七日付けで、日本原燃から、再処理事業変更許可申請がなされ、現在、新規制基準に係る適合性審査を行っており、当該審査終了後に原子炉等規制法第四十六条の規定に基づく使用前検査を実施する段階において、高レベル廃液ガラス固化建屋ガラス溶融炉(以下「ガラス溶融炉」という。)の性能を含めて、再処理施設の性能が技術上の基準に適合するものであること等を確認することとしている。
 また、お尋ねの「原子力規制委員会のどの機関」が何を指すのか明らかではないが、事業者が実施するアクティブ試験の結果の取扱いについては現時点では決まっていない。
 なお、同委員会が実施した使用前検査の結果等については、同委員会のホームページにおいて公表している。

二の3について

 お尋ねの「新型炉の使用前検査等」については、日本原燃から、新しいガラス溶融炉の設置に係る再処理事業変更許可申請はなされておらず、今後、日本原燃から当該申請がなされれば、原子力規制委員会において、その内容について、新規制基準に係る適合性審査を行うこととなる。

二の4について

 お尋ねの「ガラス固化体の品質基準」が何を指すのか明らかではないが、現時点において、ガラス固化体の埋設の方法による最終処分に関し、原子炉等規制法に基づく当該ガラス固化体に係る技術上の基準は存在しない。当該基準については、今後、高レベル廃液の最終処分に係る取組の進捗状況を踏まえて、検討すべきものと理解している。
 また、御指摘の「通常ではない固化体」の意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねの「容器」の問題も含めて、「固化体はどのように最終処分されるのか」については、廃棄物埋設施設の設計等によって定まるものであり、現時点でお答えすることは困難である。