質問主意書

第189回国会(常会)

答弁書


答弁書第三〇号

内閣参質一八九第三〇号
  平成二十七年二月二十四日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員櫻井充君提出社会福祉法人における内部留保及び介護保険制度に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員櫻井充君提出社会福祉法人における内部留保及び介護保険制度に関する質問に対する答弁書

一について

 平成二十六年に厚生労働省が実施した介護事業経営実態調査(以下「実態調査」という。)においては、社会福祉法人に係る介護事業収益の国庫補助金等特別積立金取崩額(以下「補助金等取崩額」という。)に相当する額が介護事業費用の減価償却費に含まれている。このため、事業者が得た補助金に相当する部分を除外した事業活動に関する収支を把握するためには、各事業の介護事業収益及び介護事業費用のいずれの項目についても補助金等取崩額を控除することが必要であり、御指摘の介護事業費用の項目のみから補助金等取崩額を控除しないこととすることは適当ではないと考えている。御指摘の方法により、実態調査の結果における介護老人福祉施設の補助金等取崩額を控除しない介護事業費用と補助金等取崩額を控除した介護事業収益との間における差額を介護事業収益で除すと約五・五パーセントとなる。なお、当該結果における介護老人福祉施設の補助金等取崩額を控除しない介護事業費用と同様に補助金等取崩額を控除しない介護事業収益との間における差額を介護事業収益で除すと約八・四パーセントとなる。

二から四までについて

 「経済財政運営と改革の基本方針二〇一四」(平成二十六年六月二十四日閣議決定)に記載されている御指摘の「社会福祉法人の内部留保」については、一般的な意味での利益剰余金のことを指しており、過去の収支差の蓄積であるが、その定義については確立しているものではないため、お尋ねの「「社会福祉法人の内部留保」の定義」、「貸借対照表上のどの部分に当たるのか」、「設立年度による一施設当たりの内部留保額」の違い及び「社福における内部留保額について法人ごとの差異」についてお答えすることは困難である。また、社会福祉法人のいわゆる「内部留保」については、社会保障審議会福祉部会が平成二十七年二月十二日に取りまとめた「社会保障審議会福祉部会報告書」において、社会福祉法人が現在の事業継続に必要な財産以外に活用できる財産を保有している場合には、これを計画的に社会福祉事業又は公益事業により供給されるサービスに再投下することが必要との考え方が示されていると承知している。

五について

 介護職員の処遇改善加算(以下「処遇改善加算」という。)の取得については、各事業者において判断されるものと承知しており、どの程度の事業所が処遇改善加算を算定するかお答えすることは困難である。

六及び七について

 処遇改善加算については、介護職員の離職率が高いこと、介護職員の賃金が医療職等の賃金に比べて相対的に低い状況にあること等を踏まえて充実したものであることから、処遇改善加算の対象は、これまでと同様に介護職員に限る予定としている。また、各事業所における賃金水準は個々の労使交渉等で決められるべきものと考えているが、平成二十七年度介護報酬改定においては、改定後においても全体としては事業者の安定的な経営に必要な収支差が残るように各サービスの報酬を設定する予定である。

八について

 実態調査によると、ユニット型指定介護老人福祉施設において、常勤換算した看護・介護職員一人当たりの利用者数は、一・七人となっている。
 また、指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成十一年厚生省令第三十九号)における「介護職員及び看護職員の総数は、常勤換算方法で、入所者の数が三又はその端数を増すごとに一以上とする」との規定は、都道府県等が指定介護老人福祉施設が遵守するべき最低基準を定めるに当たって従うべき基準であり、現状でも、介護報酬の設定に当たっては、ユニット型施設とユニット型施設以外の施設との収支差の相違を含め、実態調査で把握される介護老人福祉施設の経営実態等を勘案しており、御指摘のような見直しを行う考えはない。