質問主意書

第189回国会(常会)

答弁書


答弁書第一八号

内閣参質一八九第一八号
  平成二十七年二月十三日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員浜田和幸君提出ハーグ条約の適用に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浜田和幸君提出ハーグ条約の適用に関する質問に対する答弁書

一について

 国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(平成二十六年条約第二号)は、国境を越えて不法な連れ去り又は不法な留置がされた場合において子をその常居所を有していた国に返還すること等を定めている。これは、子の監護に関する事項については、子が常居所を有していた国において判断されることが適当との考え方に基づくものである。
 これに対し、日本国内において連れ去られた子がそのまま日本国内にとどまっている場合には、子の監護に関する事項については、原則として、我が国において判断されることとなり、いずれの国でこれが判断されるべきかという問題自体が生じない。
 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、御指摘のような子を「連れ去ったのが国外」である場合と「国内」である場合とでは、問題状況が異なるため、「法の適用」について一概に両者を比較して論ずるのは適当でないと考える。

二について

 離婚後の親権についていわゆる共同親権制度を導入することについては、国民の間で賛否の意見が分かれている上、離婚に至った夫婦の間では、子の養育監護に必要な合意が得られないなど子の利益の観点から望ましくない事態が生ずるおそれがあることから、慎重に検討する必要があると考えている。

三について

 お尋ねの「法の運用」の意味するところが必ずしも明らかではないが、裁判所においては、親権者の指定やいわゆる面会交流等について、事案の性質に応じ、様々な事情を総合的に考慮した上で適切に判断しているものと承知しており、御指摘のような「差別」があるものとは認識していない。