質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第三四二号

毒物及び劇物指定令の一部を改正する政令におけるβ-メルカプトエタノールの規制に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年九月二十五日

牧山 ひろえ   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   毒物及び劇物指定令の一部を改正する政令におけるβ-メルカプトエタノールの規制に関する質問主意書

 日本の製薬産業の振興は、国民の健康な生活とその向上に直結する。それだけではなく、日本は世界で数少ない新薬創出国であり、知識集約型産業である医薬品産業は経済成長を担う重要な産業として期待されている。しかしながら、新薬の開発には、最先端の科学に加え、十年以上もの年月と数百億円単位の費用が必要とされている。この重要性と投資負担の重さに比較し、日本の製薬産業を取り巻く業務環境は、諸外国に比較し優位に立っているとは言い難い。それゆえ、製薬業に関する諸課題を解決し、我が国のリーディング産業である医薬品産業の国際競争力の強化を図る必要がある。この問題意識を前提に、以下質問を行う。
 β-メルカプトエタノール(β-ME)は、もっぱら細胞培養等の還元剤として一般的に用いられる試薬だが、毒物及び劇物取締法に基づく「毒物及び劇物指定令の一部を改正する政令」によって毒劇物危害防止規定に沿った管理が求められており、企業によっては多額の負担が発生している。
 薬事・食品衛生審議会毒物劇物部会の議事録を振りかえるに、毒物判定基準(含有製剤も含む全体規制)と根拠となる事象(実験結果)に、客観的な科学的適合性が認められるとは言えない。そもそも、規制・監督官庁にあっては、規制の根拠となる実証実験の結果から、適正な濃度の閾値を決めることがその任務であって、今後再生医療分野への国としての積極的な政策関与が予定されるなか、不要な規制が研究開発の阻害要因とならないよう、また、企業の意欲を削ぐことのないよう、早急な対応を強く求めるところである。
 したがって、国際基準(β-MEは米国などにおいては非毒物)に合わせ、アジ化ナトリウム等と同様に濃度制限による指定令からの除外が相応しいと考えるが、政府の見解は如何か。

  右質問する。