質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第三四〇号

教育訓練給付制度の運用改善に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年九月二十五日

牧山 ひろえ   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   教育訓練給付制度の運用改善に関する質問主意書

 雇用保険法により定められた教育訓練給付制度については、平成二十六年三月に改正され、同年十月一日から、従来の枠組みを受け継いだ「一般教育訓練給付」に、「専門実践教育訓練給付」が加わっている。
 当該制度について、以下のとおり質問する。

一 教育訓練給付は、元々、働く人の主体的な能力開発の取組又は中長期的なキャリア形成を支援し、雇用の安定と再就職の促進を図ることを目的としているが、併せて、日本経済全般への好影響の波及を期待し得るものである。しかしながら、雇用保険制度の教育訓練給付の財源には国庫負担はなく、労使の保険料が財源となっている。
 これらに鑑み、教育訓練給付の財源については、雇用保険制度のみならず、一般会計によっても支援すべきではないかと考えるが、政府の見解如何。

二 教育訓練給付制度の対象となる講座は年々多様化して高額になっているにもかかわらず、給付金の給付割合及び給付金額の上限は年々縮小傾向にある。さらに、実際の就職に結び付く資格や技能であるほど、そのための教育訓練の費用は高額になる。
 このような高額化する費用への対策として、政府はどのような具体策を描いているのか明らかにされたい。

三 教育訓練給付制度については雇用保険加入者が対象となっている。また、自己啓発や教育訓練に関する自己投資を行った場合には、特定支出控除という税法上の優遇が認められている。本制度の利用実績については、特定支出の範囲の拡大や適用判定基準の緩和によって増加したものの、全体数から見れば依然として少ない状況にある。雇用保険未加入者や現在給与所得がない者を含む全ての労働者の能力開発を支援する制度が必要ではないかと考えるが、政府の見解如何。

四 昨今、子供の貧困といったことが社会問題となっているが、原因の一つにひとり親家庭の経済状況が貧しいということがある。実際、ひとり親家庭の生活保護受給率は高く、ひとり親家庭の子供は、家庭の経済状況が不安定なため、勉強になかなか集中することができず、結果として貧困が連なっていく負の連鎖が生じている。こうした連鎖を断ち切るために、このひとり親家庭の保護者に対する教育給付により就職や収入増加に結び付けることができれば、結果的には生活保護受給者を減らすことができ、社会的コストは安く済むと考える。
 しかしながら、就職やキャリアアップによる収入増加に結び付く教育訓練や自己啓発については、概して費用が高く、現行の教育訓練給付によっては賄いきれず、状況の改善に結び付けられていない現状がある。したがって、ひとり親家庭の保護者の教育訓練給付については、支援費用や対象について優遇的な取扱いが必要ではないかと考えるが、政府の見解如何。

  右質問する。