質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第三二七号

安倍首相の「テレビ出演」に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年九月二十五日

山本 太郎   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   安倍首相の「テレビ出演」に関する質問主意書

 報道によれば、平成二十七年九月四日、安倍首相は大阪を訪れ、大阪市中央区の読売テレビにおいて、午後一時三十分から同二時二十九分まで「そこまで言って委員会NP」(以下「収録番組」という。)の番組収録を行い、午後三時三分から同四十五分まで情報番組「情報ライブミヤネ屋」(以下「生放送番組」という。)に生出演したとされる。この間、参議院我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会(以下「安保特別委」という。)においては我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案(閣法第七二号)及び国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案(閣法第七三号)(以下「安保関連法案」という。)に関する審議が行われていた。
 以上の事実を踏まえて、安保特別委開会中の安倍首相の「テレビ出演」に関して安倍内閣としての認識を確認すべく、以下質問する。

一 今回の安倍首相の「テレビ出演」は、安倍首相の意向により実現されたものであったのか、安倍内閣として明確に示されたい。加えて、今回の安倍首相の「テレビ出演」が実現した経緯について、企画を発案した者、テレビ局との調整に当たった者、企画を実行した者等の氏名も含めて、収録番組及び生放送番組に関して個別具体的にその詳細を、安倍内閣として明確に示されたい。

二 安倍首相は収録番組の中で、司会者に「国会開会中で、実はまずいんじゃないですか」と問われたのに対して「国民にしっかり説明せよと言われておりますので、総理大臣の役目として、こういう番組を通じて、国民の皆様に分かりやすく説明をしたい」などと答えた。「総理大臣の役目として」とは、すなわち今回の安倍首相の「テレビ出演」は、政治家個人としての活動ではなく、内閣総理大臣としての活動であったとの理解でよいか、安倍内閣としての認識を明確に示されたい。

三 放送法(昭和二十五年法律第百三十二号)は、その第四条第一項において「政治的に公平であること。」、「報道は事実をまげないですること。」、「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」として、放送事業者に対して報道の公平中立並びに公正の確保を要請している。今回の安倍首相が出演した収録番組及び生放送番組は、安倍首相が国民に対して安保関連法案について「分かりやすく説明」する目的で放送されたものであり、他の出演者に安保関連法案に反対する意見を述べる者が一人もおらず、安倍首相からの一方的な説明が主であったことを鑑みれば、「政治的に公平であること。」、「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」とした放送法第四条第一項に反した番組であることは明白と考えるが、政府の見解如何。

四 平成二十七年八月二十一日の安保特別委において、私が「毎日でも出てきてくださいよ、この法案の審議にというお話なんです。そして、公共放送を通じて国民の皆さんに分かりやすく伝えていただきたい。現在、本委員会、週三日ほど審議があるんですよね。そのうち少なくとも総理自身が毎週一日以上、国民に分かりやすく説明するために審議に参加するというお気持ちがあるのかないのか。」と安倍首相に安保特別委で国民に対して「分かりやすく説明」することを求めたのに対し、安倍首相は「これは、委員会の運営におきましては委員会の委員の皆様方でお決めになることでありまして、その要請には当然行政府の長として応じなければならないと、こう考えているところでございます。」、「委員会や議会の運営というのは、慣例またルールに従って運営することが求められているわけでございまして、その中において行政府と立法府との関係、守るべき関係というものがあるわけでございまして、その中で当然求められれば我々は出席する義務を負っていると、こういうことではないかと思います。」などと答弁した。
 日本国憲法第六十三条は「内閣総理大臣その他の国務大臣は、両議院の一に議席を有すると有しないとにかかはらず、何時でも議案について発言するため議院に出席することができる。又、答弁又は説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない。」として、内閣総理大臣の議院出席義務を求めていると同時に、「何時でも議案について発言するため議院に出席することができる。」との権利を内閣総理大臣に認めている。安倍首相が、安保関連法案について国民の理解を得るべく、本気で国民に対して真摯かつ丁寧に「分かりやすく説明」するつもりであったならば、安保特別委開会中に限られた視聴者のみを対象とした収録番組及び生放送番組などに出演せず、委員会からの求めの有無にかかわらず、自らの意思により安保特別委に出席することは可能であったし、また出席すべきであったと考えるが、安倍内閣としての認識を明確に示されたい。

  右質問する。