質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第三二二号

番号法(いわゆるマイナンバー制度)の施行と不正利用対策に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年九月二十五日

山本 太郎   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   番号法(いわゆるマイナンバー制度)の施行と不正利用対策に関する質問主意書

 マイナンバー(社会保障・税番号)制度(以下「番号制度」という。)について以下質問する。なお、質問の趣旨がわかりかねるので答弁できない、という回答は厳に慎んでいただきたく要請する次第である。

一 施行、運用開始の期日について

 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(以下「番号法」という。)附則では、施行は公布日から三年を超えない範囲、番号法第九条の利用範囲や第十七条の個人番号カードの交付等の運用開始は公布日から三年六月を超えない範囲内となっている。番号法の公布日は平成二十五年五月三十一日であるため、平成二十八年五月までに施行、平成二十八年十一月までに運用開始すれば、法の要件は満たしている。
 しかし、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の施行期日を定める政令(平成二十七年政令第百七十一号。以下「四月三日の政令」という。)により、番号法の施行期日は平成二十七年十月五日、番号制度の運用開始は平成二十八年一月一日と定められた。
 番号制度の準備は遅れ、特に民間事業者での準備はいまだに多くが手つかずであることが報じられている。また、周知についても平成二十七年九月三日に内閣府が発表した世論調査結果でも、ようやくマイナンバーという言葉が知られてきたところであり、依然過半数が内容を知らない状態にある。さらに、六月に明らかになった年金情報漏えい事案により政府や地方公共団体の情報管理に対する不安は広がっており、早急な対策が必要となっているが、いまだに不安を解消する対策は採られていない。
 番号制度は適切な個人情報の保護措置が採られなかった場合、漏えいや不正利用などによりプライバシー侵害、財産的被害、国家管理への懸念が生じる可能性は政府も言及しており、準備が整わないまま施行・実施することは、これらの可能性を高めることとなる。
 よって以下を明らかにされたい。
1 番号法附則に定められた期限よりも大幅に早めて実施しなければならない理由を示されたい。
2 四月三日の政令公布以降に生じている右記の状況をふまえ、政令を改め、番号法の施行期日及び番号制度の運用開始日を延期し準備を整えるべきと考えるが、延期する考えはないか。
3 延期しない場合、右記の危険性をどのように防止するのか。

二 不正利用、漏えいの疑い等の通報窓口と対処について

 番号法施行以降、特定個人情報の漏えいや、番号法に規定がない手続で個人番号を記録したり、個人番号でファイルを作成したりといった不正利用が発生することが予想される。
 今国会で成立した個人情報の保護に関する法律及び行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の一部を改正する法律(以下「改正法」という。)では、不適正な利用について個人情報保護委員会による指導、助言、勧告、命令、報告及び立入検査が定められ、罰則も規定されている。また年金情報漏えいを受けて、行政機関内での漏えいへの対応について新たな整備がなされた。しかし、これらの対応は不正利用や漏えいの事実の察知が前提であり、付番された当事者からの通報が特に重要である。また、被害発生・拡大を防止するためには、漏えいや不正利用による被害のおそれのある当事者への速やかな連絡や対処が必要となる。
 よって、以下を明らかにされたい。
1 通報の受付窓口はどこか。
2 漏えいや不正利用のおそれがある場合、当事者への連絡はどこが行うのか。
3 通報受付から調査、対処に至る処理体制はどのようになっているのか。また、その責任を負う所管部署はどこか。
4 被害が発生した場合の責任の所在や、被害を受けた当事者の被害回復に向けた支援についてどう考えるか、政府の認識を示されたい。

三 地方公共団体での必要な措置について

 地方公共団体では番号法第三十一条により、第二十九条、第三十条に準じた必要な措置が求められ、現在、条例制定・改正が行われている。必要な措置について以下を明らかにされたい。
1 必要な措置の内容を明らかにされたい。また、その措置を講じなければならない期限はいつか。
2 前記三の1の期限までに条例制定・改正などの措置が整わなかった場合、番号制度の運用や情報連携はどうなるのか。
3 本年六月上旬、日本年金機構から百二十五万人分の個人情報が大量に流出する重大な年金情報漏えい事案が発覚した。この事案後、総務省はセキュリティ保護のため市町村に対し、基幹系ネットワークと情報系ネットワークを物理的に切断し通信を不可能な状態にすること、また、業務に利用する端末を二つのネットワークの共通端末にしないことを、六月十二日付通知により指示をした。この「通信を不可能な状態にする」ということは、具体的にどのような措置を採ることで満たされるのか。

  右質問する。