質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第三一九号

安倍首相の「会食」についての更なる究明に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年九月二十四日

山本 太郎   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   安倍首相の「会食」についての更なる究明に関する質問主意書

 平成二十六年十二月二十四日、私は「安倍首相の「会食」に関する質問主意書」(第百八十八回国会質問第一二号。以下「前回質問主意書」という。)を提出し、安倍首相が第二次安倍内閣発足以降、全国紙やテレビキー局といった一部の報道各社の社長等や解説委員、論説委員、政治部長等の幹部らとの「会食」を頻回に行っていることについて、その事実関係とともにその「会食」に係る費用負担者等の詳細等に関して質問したが、この前回質問主意書に対する答弁書(内閣参質一八八第一二号。以下「前回答弁書」という。)では、個々の質問事項に対する具体的かつ明確な答弁は一切なされず、甚だ誠実さに欠くものであったと言わざるを得ない。
 また、昨今、政権与党においては、マスメディアの政権批判報道に対して圧力を加えるかのような言動、報道の自由を脅かしかねない言動等が度々見られているとともに、これらに加えて安倍首相が一部の限られた主要報道各社の幹部らとの「会食」を繰り返すことによって、放送法(昭和二十五年法律第百三十二号)が担保しかつ要請している、放送番組の編集の自由及び独立性や政治的中立性、不偏不党の原則についても、少なからぬ影響が生じているのではないか、との疑念の声さえ国民から上がる事態となってきている。
 内閣総理大臣が各界に及ぼす政治的影響力は非常に大きく、その言動、行為及び活動は、決して「政治家個人の活動」と済ませられるものでないのは明白である。すなわち「政治家個人の活動に関するものであり、政府としてお答えする立場にない」等といった前回答弁書のような説明は、国民の納得が到底得られるものではなく、政府は安倍首相のこれらの「会食」等の行為に関して、改めて国民に対し誠実かつ丁寧に説明を行う必要がある。
 以上を踏まえて、安倍首相の一部の報道各社幹部らとの「会食」に関して以下質問する。なお、答弁はまとめず、質問項目ごとに個別に答弁されたい。

一 平成二十六年十二月十四日に行われた衆議院議員総選挙の二日後に当たる十二月十六日に、安倍首相は、「東京・西新橋のすし店「しまだ鮨」において、時事通信の田崎史郎解説委員、朝日新聞の曽我豪編集委員、毎日新聞の山田孝男特別編集委員、読売新聞の小田尚論説主幹、日本経済新聞の石川一郎常務、NHKの島田敏男解説委員、日本テレビの粕谷賢之解説委員長と食事」と、平成二十六年十二月十六日二十二時二十六分、朝日新聞デジタルの「首相動静-十二月十六日」において報道されたが、政府は、このように報道された事実を承知しているか。また、その報道内容は事実か。

二 平成二十六年十二月二十日付けの東京新聞は、安倍首相の就任以来、首相と首相と親交がある報道関係者らとの「会食」に参加している時事通信社の田崎史郎解説委員の言葉として、この「会食」に係る費用について、「総理からお金はもらえないし、世間の目もあるので、総理の食事代はわれわれが払った」と記事において示している。政府は、このような東京新聞の記事の存在を承知しているか。また、安倍首相が、例えば前記一の、西新橋のすし店「しまだ鮨」の会食の食事代を支払っていないのは事実か。

三 平成二十七年一月十四日付けの朝日新聞は、私の提出した前回質問主意書を取り上げ、安倍首相が報道関係者らと繰り返している「会食」について、「全国紙やテレビ局のベテラン記者らとの定期的な会合もあります。出席している朝日新聞の曽我豪編集委員は「政治記者として、最高権力者である総理大臣がどういう思いで政治をしているのかを確かめる取材機会を大事にしたいと考えています」と話しています。費用は、安倍首相の分も含めてマスコミ側がすべて負担し、割り勘にしています」と報道している。政府は、この朝日新聞の報道の存在を承知しているか。

四 内閣総理大臣が、特定の新聞記者等から飲食の供応を受けて、当該特定新聞記者等のみに取材の機会を与え、飲食の供応をした特定の新聞記者等にだけ情報の提供を行うことは、刑法第百九十七条の収賄罪に該当すると思うが、政府の見解を明らかにされたい。

五 平成二十七年六月二十四日、安倍首相は東京・銀座の日本料理店「銀座あさみ」において、「朝日新聞の曽我豪編集委員、毎日新聞の山田孝男特別編集委員、読売新聞の小田尚論説主幹、日本経済新聞の石川一郎専務、NHKの島田敏男解説副委員長、日本テレビの粕谷賢之メディア戦略局長、時事通信の田崎史郎解説委員と食事」と、平成二十七年六月二十四日二十二時二十一分、朝日新聞デジタルの「首相動静-六月二十四日」において報道されたが、政府は、このように報道された事実を承知しているか。また、その報道内容は事実か。

六 安倍首相は、平成二十五年八月十六日及び二十日、平成二十六年四月十三日、八月十九日及び二十日、更に平成二十七年八月十七日に、山梨県富士河口湖町のゴルフ場において、株式会社フジテレビジョン代表取締役会長及び株式会社フジ・メディア・ホールディングス代表取締役会長の、日枝久氏とゴルフを行っていることが報道されているが、これは事実か。さらに、このゴルフ及び前後の会食等の費用は誰が負担したのか、明確に示されたい。加えて、第二次安倍内閣発足以降、安倍首相が全国紙やテレビキー局といった主要報道各社の代表取締役を始めとする役員や、解説委員、論説委員、政治部長・報道部長等の幹部等と行った会食あるいはゴルフ(以下「会食等」という。)について、その日時及び会食等の内容及び参加者、その会食等に係る費用及びその費用負担者等に関して、それらの事実関係及びその詳細を調査の上、全て個別具体的かつ明確に示されたい。

  右質問する。