質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第二九二号

国民年金の特定保険料納付申出等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年九月十六日

田村 智子   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   国民年金の特定保険料納付申出等に関する質問主意書

 昨年成立した、政府管掌年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律により、処理誤り等のために国民年金保険料の納付や年金保険料免除申請等をできなかった者に対する救済措置として国民年金の特定事由に係る申出及び特例保険料の納付申出の制度(以下「特定保険料納付申出等制度」という。)が創設されることになった。来年四月一日の施行に向け、現在、社会保障審議会特定保険料納付申出等に係る承認基準専門委員会(以下「専門委員会」という。)において厚生労働大臣が定める承認基準についての議論が行われている。特定事由の基準の定め方によっては、十分な救済とならない懸念を拭えない。年金受給権を保障するために特定事由の申出をできるだけ尊重する基準としなければならない。
 日本年金機構(以下「機構」という。)における事務処理誤りについては予算委員会で本年四月に取りあげ、事務処理誤りの背景に機構の非正規職員の急増や経験ある職員の雇い止めがあることを指摘し、経験ある職員を使い捨てるやり方を改めるよう求めた。事務処理誤りの原因やその背景となっている経験ある職員を切り捨てるやり方を改めることはもちろんだが、事務処理誤りによって被害を受けた者の救済が適切に行われなければならない。
 この観点から以下質問する。

一 特定事由は処理の誤り等の立証が必要となる。現在、専門委員会では、どのような証拠があれば特定事由に認定してよいかという議論を行っている。機構の側の保有する証拠で立証できる場合はよいが、そうでない場合が問題となる。専門委員会では本人側の証拠の例として、本人のメモ、録音テープをあげている。
 例えば、納付書の作成依頼のように口頭で行った依頼が適切に処理されていなかった場合、どうしても「言った、言わない」の争いになりがちである。相談者は年金事務所が適正に処理を行うことを疑わずに納付書の作成依頼等を行っているのであり、やり取りの録音をしていないことが通常と思われる。このようなケースで事務処理誤り等の立証に本人のメモや録音テープが必要ということになれば、特定保険料納付申出等制度による救済の対象は極めて限定されるのではないか、政府の見解を明らかにされたい。

二 年金受給権保障の観点や事務処理誤り等により申出者の信頼が裏切られたことを考えれば、特定保険料納付申出の承認基準については、申出者の主張について機構等の側に反証となる証拠がなければ認めるものとするべきではないか、政府の見解を明らかにされたい。

三 特定保険料納付申出等制度の対象となる事例は適切な事務処理や説明が行われていれば保険料の納付や免除等、本人が持っている権利を行使できた事例である。特定事由に係る大臣の承認基準は本人の年金受給権をできるだけ保障し、救済対象ができるだけ広くするようにすべきではないか、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。