質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第二八八号

子宮頸がん予防ワクチンの定期接種の取扱い及び子宮頸がん検診に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年九月十五日

牧山 ひろえ   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   子宮頸がん予防ワクチンの定期接種の取扱い及び子宮頸がん検診に関する質問主意書

 子宮頸がん予防ワクチンは、二〇一三年四月から、小学六年から高校一年相当の女子に対する予防接種法に基づく定期接種となった。しかし、子宮頸がん予防ワクチンの接種後に全身の痛みやしびれを訴える報告が相次いだため、厚生労働省はわずか二か月後の同年六月、全国の地方自治体に対し、子宮頸がん予防ワクチン接種の「積極的な勧奨」を一時中止するよう勧告した。その後二年以上も、その状態が継続している。
 これらの経緯を前提とし、政府の子宮頸がん予防ワクチン及び子宮頸がん検診に関する認識及び取組について、以下質問する。

一 子宮頸がん予防ワクチン接種についての現在のどっちつかずの状態は、危険性の判断を国民に押し付けていることとなり、ある面非常に無責任な対応となっている。次回開かれる厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会と薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会の合同部会では、この問題に関する結論が出る見込みはあるのか。せめていつ頃判断が下されるのか、時期の目安を示すべきと考えるが、政府の見解は如何か。

二 子宮頸がん対策においては、がん検診が一番の予防と言われる。特に、ワクチンの「積極的な勧奨」の一時中止が長く継続している現状においては、早期発見につながる子宮頸がん検診の重要性がより高まっていると言える。しかしながら、日本の子宮頸がん検診の受診率はOECD加盟国中最低のレベルである。特に、若い女性の検診離れが進んでいることが懸念されている。この課題については、子宮頸がん検診に関して、十分な財源が確保されておらず、受診率を高めるための事業が徹底されていないことが背景にあると考える。
 まずは諸外国で行われているような対象者の台帳化や、個別に通知して受診を促すような体制を整備すべきと考えるが、政府の見解は如何か。

三 従来型の細胞診と合わせてHPV感染の有無を検査するHPV併用検診は精度が高いとされ、欧米諸国でも顕著な実績が上がっている。また、日本の地方自治体においても、実施例が増えつつあり、成果も出つつある。しかし、実際に併用を実施しているのは、全国の地方自治体の僅か一割にとどまっており、国レベルではいまだ本格導入されていない。国レベルでのHPV併用検診の有効性の検証をできる限り速やかに行うべきと考えるが、政府の見解は如何か。

四 新しい検診制度の導入の検討に当たっては、費用対効果の視点も考慮しなければならない。その視点から、ほとんどの諸外国で設けられているような「対象年齢の上限」を設定することや、年齢に応じた検診方法・検診間隔の設定により、必要最小限の検診回数で高い発見率を目指すこと等も検討すべきと考えるが、政府の見解は如何か。

  右質問する。