質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第二八三号

指定廃棄物の指定解除手続及び長期管理施設の詳細調査候補地選定の在り方等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年九月十四日

和田 政宗   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   指定廃棄物の指定解除手続及び長期管理施設の詳細調査候補地選定の在り方等に関する質問主意書

 平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法(平成二十三年法律第百十号)に規定される「指定廃棄物」については、放射能濃度の分析を実施してから四年以上を経過しているものもあり、全体として濃度は相当程度減衰してきていると考えられる。一方、指定廃棄物の長期管理施設の詳細調査候補地選定については、指定解除を実施しないことを前提に必要面積等の算定が行われていると考えられ、合理性に欠いている。そこで、指定廃棄物について、その指定解除の手続の検討状況及び長期管理施設の詳細調査候補地選定の在り方等について、以下質問する。

一 望月環境大臣は、平成二十七年四月二十四日の衆議院環境委員会において、指定廃棄物の指定解除の手続について、検討を実施しているとした上で、「時期については確たることは申し上げられませんが、御指摘を踏まえて、できるだけ早期に結論を出すために、事務方に検討を急ぐように指示をしている」と答弁している。環境省からは、解除に伴い処理責任の主体が国ではなくなること等の課題があることが繰り返し説明されているものの、それらの課題を解決するための検討が進んでいる様子はうかがえない状況にある。そこで、大臣の答弁以降の指定解除の手続についての検討に関する具体的な進捗状況及び結論を出す時期の目途を明らかにされたい。

二 指定廃棄物の長期管理施設の詳細調査候補地の選定において、必要な面積を十分に確保できる土地を確保することとされているが、現時点の指定廃棄物全てに係る必要面積を前提とするのは、土地を過大に確保することにつながりかねず、詳細調査候補地選定プロセスに対する不信を増幅させる可能性がある。放射能濃度の減衰を考慮した現時点での数値を明らかにし、指定廃棄物のうちどの程度が指定の要件である一キログラム当たり八千ベクレルを下回っているのか、最新の状況を基に評価すべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

三 長期管理施設の詳細調査候補地の選定において、可能なものは指定廃棄物としての指定を解除した上で必要な面積を算定するべきであり、指定廃棄物の指定解除の手続が決定されない段階で、長期管理施設の詳細調査候補地選定の手続を進めるのは合理的ではないと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

四 長期管理施設の詳細調査候補地の選定手法に関して、点数評価等による絞り込みを行う際の評価項目として使用する、指定廃棄物等の保管状況については、指定廃棄物の指定解除の手続を経た上で再評価すべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

五 平成二十七年五月十三日の参議院東日本大震災復興及び原子力問題特別委員会において、環境省は、指定廃棄物の放射能濃度に関して、「指定時に濃度を把握してございますので、物理的な減衰でございますので、いつの時点でどれだけの濃度があるというのが分かっておれば、何年たてばどれだけ減るということは計算上出てまいります。そういう意味で改めて測定するということの必要は乏しい」としている。この考え方を前提とすれば、濃度がどの程度減衰したかについて大まかな値を示すことは可能であり、実際に環境省は、平成二十七年七月八日に開催された第四回栃木県指定廃棄物処分等有識者会議において、一般的な濃度減衰の傾向について説明を行っている。放射性物質汚染廃棄物の処理に関する国民の理解を得るためには、現時点における減衰後の推定濃度を公表するべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
 また、千葉県千葉市に一時保管されている七・七トンの指定廃棄物について、一般的な濃度減衰の傾向を前提に計算すると、平成二十七年八月三十一日時点において、一キログラム当たり八千ベクレルを下回っているのは何トンなのか、明らかにされたい。

  右質問する。