質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第二七九号

安全保障関連法案と公務員の憲法尊重擁護義務及び立憲主義に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年九月七日

藤末 健三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   安全保障関連法案と公務員の憲法尊重擁護義務及び立憲主義に関する質問主意書

 日本国憲法は、第九十七条において基本的人権の永久・不可侵性を確認するとともに、第九十九条において国務大臣、国会議員等の公務員の憲法尊重擁護義務を規定している。これは、個人の自由・権利を確保するために国家権力を制限することを目的とする近代立憲主義憲法の考え方に基づき、憲法を運用する任務にある公務員に対して国民の側から憲法尊重擁護義務を定めたものである。
 日本国憲法は、前文において「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し」と述べた上で、第九条第一項において「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」とし、同条第二項において「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」として、徹底した恒久平和主義を基本原理としている。そして、政府も、集団的自衛権の行使や海外における武力の行使は許されないとの憲法解釈を長年一貫して積み上げ、恒久平和主義の枠組みを構築してきたところである。
 しかしながら、政府が今国会に提出した、我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案及び国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案(以下「安全保障関連法案」という。)は、日本の安全保障について定めた重要な憲法規範を、一内閣の判断で実質的に変更しようとするものである。憲法改正手続を経ずに憲法の内容を変更することは、憲法を遵守すべき立場にある国務大臣や国会議員によってなしうることではなく、日本国憲法第九十九条を逸脱するものではないか。政府の見解を明らかにされたい。
 さらに、安全保障関連法案は、日本国憲法の恒久平和主義の実質的内容を根本から改変するものであり、憲法によって国家権力に縛りをかけることにより、平和を守り、それにより国民の自由・権利を守ろうとする立憲主義に真正面から反するのではないか、併せて政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。