質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第二四九号

インターネット上の著作権侵害コンテンツ対策に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年八月十九日

牧山 ひろえ   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   インターネット上の著作権侵害コンテンツ対策に関する質問主意書

 我が国のコンテンツ産業の振興を図っていく上で、インターネット上に氾濫する著作権侵害コンテンツへの対策は急務である。しかしながら、現状では著作権侵害防止に係る技術開発の遅れや法的な諸問題の未整理等もあいまって、著作権について適切な保護がなされているとは言い難い。
 特に、違法コンテンツを提供する日本国外の事業者に対して裁判を起こすのは非常に労力や時間が掛かる上に、そもそも訴状が届くかどうかも分からない場合があるなど、日本国外の事業者に対する違法コンテンツ対策には大きな課題が残っている。その解消のためにも、日本国内で効果的な手続を採ることができる方策を充実することが重要となる。
 ますますグローバル化の傾向を深める現在、「クールジャパン」を掲げ、映像作品やマンガ等に関するコンテンツ大国である我が国は、著作物の保護と利用に関し先進的なモデル国となることを目指すべきであると考える。
 以上の認識を前提に、以下質問する。

一 インターネット接続事業者が、権利者側の要請に応じ、著作権侵害サイトについて、強制的に利用者の閲覧を遮断できる「ブロッキング」の導入を政府が検討していると報道されている。著作権侵害による被害は拡大傾向にあることから、その導入について可及的速やかに検討すべきであると考えるが、「ブロッキング」の導入に関する政府の見解及びいつ、どのように検討を進めるのか、今後の見通しを示されたい。

二 インターネット上での著作権侵害は誰でも容易に行うことができるため、被害が蔓延しやすい特徴を持つことから、権利者のアクションが必要な対策だけでは限界がある。そこで、著作権侵害コンテンツを自動的に検出するシステムを、より広く国民一般が利用できるよう普及させるべきであると考えるが、政府の見解を示されたい。また、著作権侵害コンテンツを自動検出した上で、自動的に削除することまで求める声もあるが、削除まで含めたシステム構築について、政府の見解を示されたい。

三 日本国外の事業者に対して著作権侵害コンテンツを削除させるには、民間対民間による対策だけでは限界がある。国として、相手国政府に対する海賊版対策に向けた働き掛けを継続し強化していくことが重要であると考えるが、そのための具体策について、政府の見解を示されたい。

四 著作権侵害コンテンツ対策においては、ユーザーへの普及啓発も極めて重要である。学校教育の中で、著作権教育をより充実させていくべきであると考えるが、著作権教育の現状及び今後の方向性を示されたい。

五 現在、TPP(環太平洋パートナーシップ)協定に関する交渉が最終局面を迎えているが、著作権制度に関係して「保護期間の延長」、「非親告罪化」、「法定賠償金制度の導入」等について合意される見通しであると報道されている。これらの事項については、関係者からの懸念も表明されているが、政府はどのような方針で著作権制度に関する交渉を行っているのか、明らかにされたい。

六 従来、著作権制度の見直しに当たっては、権利者及びユーザーの意見に配慮しつつ、文化審議会著作権分科会等の場で議論が行われた上で、制度改正が実施されてきた。今後、TPP交渉が合意に至った場合、どのような手続及びスケジュールで著作権制度の見直しを進めることを想定しているのか、文化審議会著作権分科会の関与の有無も含め、明らかにされたい。

  右質問する。