質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第二三九号

日本原燃株式会社六ヶ所再処理工場の高レベル廃液のガラス固化に関する第三回質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年八月十二日

川田 龍平   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   日本原燃株式会社六ヶ所再処理工場の高レベル廃液のガラス固化に関する第三回質問主意書

 「日本原燃株式会社六ヶ所再処理工場の高レベル廃液のガラス固化に関する再質問主意書」(第百八十九回国会質問第二〇六号)に対する答弁書(内閣参質一八九第二〇六号。以下「前回答弁書」という。)が本年七月二十八日に提出された。
 日本原燃株式会社(以下「日本原燃」という。)六ヶ所再処理工場に大量に貯蔵されている不安定な高レベル廃液に含まれる超高濃度の放射性物質が重大事故により環境に放出されてしまうのではないか、との懸念のもと数度にわたり質問主意書を提出してきた。地元の方々にとっては、高レベル廃液とその放射性物質がガラス固化によりどれだけ除かれ、放射性物質の潜在的リスクが軽減したかが差し当たって最大の関心事である。しかしこれまでの答弁書によると、日本原燃はガラス固化により廃液中のセシウム一三七がどれだけ封じ込められたか調べていないとのことであり、これでは高レベル廃液の放射能が果たしてガラス固化されたのか不明であり問題である。国や日本原燃は高レベル廃液のリスクの減少について国民に知らせ、安心していただく責任があると考えるがこれをどう担保するのか。
 前回答弁書の内容は、全く不十分であり、国民の理解を得ようとする姿勢を感じられなかった。そこで改めて質問するので、国民の信頼を得られるように丁寧かつ分かりやすい答弁をされたい。そして、人と環境を守るため絶対に大事故を起こさないよう、高レベル廃液の日常的な厳しい管理を強く求めるものである。
 以下、前回答弁書の内容の疑問点について再度質問をする。

一 前回答弁書「二について」について

 「高レベル廃液貯蔵設備」に貯蔵されている高レベル廃液中のセシウム一三七の放射能量が二〇一三年二月一日時点と二〇一五年三月四日時点で約五百二十ペタベクレルと変わらなかった理由について「高レベル廃液及び高レベル廃液以外の放射性物質を含む液体状の物質を内包する設備から発生する放射性物質を含む気体状の物質を水と接触させることによって回収し、濃縮した上で、高レベル廃液として貯蔵設備に移送しており、これにより定常的に高レベル廃液が発生しているため」と答弁があった。
 セシウム一三七は廃液中で「イオン」として存在しており、簡単には気化しないと考えられるが、ガラス溶融炉以外のどの貯槽等から発生するのか、貯槽等の管理温度も示した上で、この約二年間に各貯槽等から発生し水により回収された放射能総量を明らかにされたい。この約二年の期間においてガラス溶融炉へ供給された廃液中のセシウム一三七の何%が蒸発し、水により回収されたのか。また同期間におけるガラス溶融炉から発生したセシウム一三七の放射能回収総量を示されたい。また、水により回収された放射能総量は、この約二年の期間における「高レベル廃液貯蔵設備」に貯蔵されている高レベル廃液中のセシウム一三七の減衰量を補う放射能量か示されたい。

二 前回答弁書「三について」について

1 「「ガラス固化待ちの高レベル廃液の量」については、ガラス固化体の製造及び高レベル廃液ガラス固化設備内の高レベル廃液の撹拌を行う設備の運転によって常に変動するものであることから、具体的な数字を示すことはできないと聞いている。」との答弁があった。
 二〇〇九年一月には高レベル廃液ガラス固化建屋の固化セル内で高レベル廃液が約百五十リットル漏えいする事故があった。このときはその漏えい量が日本原燃報告書「高レベル廃液ガラス固化建屋 固化セルにおける高レベル廃液の滴下について(報告)」(平成二十一年一月三十日。以下「本件報告書」という。)六ページや添付資料六で詳しくリットル単位で報告されている。このときはなぜ固化設備内の各貯槽の液量の数値を出すことができたのか示されたい。
 また、各貯槽の水位については連続測定され記録されているのではないか、その有無を示されたい。
2 「お尋ねの「高レベル廃液に含まれるセシウム一三七の放射能量」については、高レベル廃液ガラス固化設備内の高レベル廃液に含まれる核種ごとの放射能量の分析を行っていないことから、具体的な数字を示すことはできないと聞いている。」との答弁があった。
 本件報告書の添付資料五では漏えい廃液に加え、供給槽Aの廃液中のセシウム一三七の濃度を、高レベル廃液混合槽Aの廃液の分析結果から算出した値が示されていた。分析は行われているのではないか。
 日本原子力学会和文論文誌論文「地層処分の安全評価の観点からガラス固化体中の核種インベントリ評価の信頼性向上の取り組み」Ⅱの2「放射能濃度の評価」の冒頭に「フランスからの返還ガラス固化体1本当たりに含まれる放射能濃度は、固化対象となる廃液の分析結果と廃液供給量とで求める」と記載されていた。英仏からの返還ガラス固化体を受け入れている日本原燃が自社製造の固化体について製造前後の廃液量と放射能濃度を調べていないことは考えられない。
 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律で定められている事業所外への廃棄に関する申請では、セシウム一三七を始めとする指定核種の放射能濃度を算出合算しガラス固化体一本当たりの全α、及びβ・γ放射能濃度を決定することになっているのではないか。ガラス固化設備内の高レベル廃液に含まれる各指定核種の放射能量を分析していない場合、事業所外廃棄申請ができないことになるのではないか。本当に分析していないのか。国はそのことを容認するのか、見解を示されたい。
3 ガラス固化待ちの高レベル廃液の量と高レベル廃液に含まれるセシウム一三七の放射能量について、二〇一三年二月一日、ガラス固化前の二〇一三年五月七日、ガラス固化終了時点の二〇一三年五月三十一日及び二〇一五年三月四日各々の数値を示されたい(A、B系列の区別が必要な場合は分けて示されたい。)。
 この質問に具体的に答弁できなければ、ガラス固化体に含まれるセシウム一三七の放射能量が分かっていないことになるが、別の方法で調べているならば示されたい。

  右質問する。