質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第二三三号

我が国における難民認定の状況に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年八月十日

石橋 通宏   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   我が国における難民認定の状況に関する質問主意書

 二〇一四年における我が国の難民庇護の状況は、難民認定申請者数五千人に対し、認定された者が十一人と報告されている。同年、韓国では申請者数二千八百九十六人中、認定された者が九十四人であった。また、ドイツは一万千人、英国は九千五百人、フランスは九千人、米国は二万千人をそれぞれ難民として認定しており、我が国の認定数及び認定率の低さが突出している。
 そこで、以下質問する。

一 難民認定実務の実績について

 1 二〇〇五年から二〇一五年までの難民認定申請件数、難民認定件数及び認定率を示されたい。
 2 本年三月末時点で難民認定申請中の人数、異議申立て継続中の人数、同日時点での収容者の数及びそれぞれの申請年ごとの内訳、国籍の内訳を示されたい。また、そのうち、二〇一三年十月以前の難民認定申請者については、いまだに申請が継続している理由を明らかにされたい。
 3 二〇一四年中に異議申立ての結果が出た審査件数及び難民認定申請を行ってからの平均審査期間を示されたい。このうち、認定、不認定別の平均審査期間についても明らかにされたい。
 4 二〇〇五年から二〇一五年までの難民認定手続の一次審査で、医師、臨床心理士、その他これに準ずるものが同席した件数を示されたい。
 5 二〇〇五年から二〇一五年までの難民認定手続の一次審査の平均処理期間を示されたい。
 6 二〇〇五年から二〇一五年までの認定と不認定の案件それぞれの一次審査におけるインタビューの平均回数を示されたい。また、不認定となった案件のうち、インタビューがなされなかった件数を明らかにされたい。
 7 二〇〇五年から二〇一五年までの難民不認定取消し又は無効訴訟の裁判件数、また訴訟が提起された件数及び難民認定申請者が勝訴した件数を示されたい。
 8 二〇一四年中に仮滞在を許可した人数、不許可の人数及びその平均審査期間を示されたい。
 9 二〇一四年中の我が国の国際空港における難民認定申請の件数を示されたい。このうち、仮滞在を許可した人数、不許可の人数及び仮滞在不許可の場合の理由別の人数を明らかにされたい。
 10 二〇一四年中に行われた難民認定申請に際し、難民認定申請書が日本語以外の言葉で書かれていた件数を言語別に示されたい。このうち、入国管理局として翻訳サービスを提供した件数を言語別に示されたい。

二 複数回申請者の難民認定状況について

 二〇一〇年から二〇一四年の五年間に難民として認定された人(異議申立手続における認定者を含む)の中で、二回目以降の難民認定申請手続又は異議申立手続において難民認定を受けた又は在留許可をもらった者の数を明らかにされたい。

三 難民審査参与員制度について

 1 二〇〇五年から二〇一五年三月末までで、難民認定意見を出したことのない難民審査参与員(以下「参与員」という。)の数を示されたい。
 2 参与員が認定という結論を出したにもかかわらず、法務大臣が不認定とした逆転ケースの件数、その対象者の国籍と不認定決定の理由を明らかにされたい。
 3 二〇〇五年五月十六日から二〇一五年三月一日までに異議申立手続で決定が出された事案について、「理由あり」とされた事案と「理由なし」とされた事案の件数をそれぞれ示されたい。
 4 前記三の3のうち、参与員のうち二名又は三名全員が認定意見を出したにもかかわらず、法務大臣が「理由なし」とした事案は年別で何件ずつあったか示されたい。
 5 二〇〇五年五月十六日から二〇一五年三月一日までの期間に参与員を経験した全百十二名について、①元外交官、②元裁判官、③元検事、④元弁護士(日弁連推薦)、⑤商社等海外勤務経験者、⑥海外特派員経験者(ジャーナリスト)、⑦NGO・国際関係機関の勤務経験者、⑧①、⑤、⑥及び⑦以外の地域情勢や国際問題に明るい者、⑨国際法の専門家(学者)、⑩国際法以外の法律の専門家(学者)という分類で、それぞれの人数及び各人が何件の認定意見を出したか明らかにされたい。

四 保護費の支給状況について

 二〇一〇年から二〇一五年のそれぞれ三月末現在で、保護費を受給していた者の数、その国籍及び平均受給期間を示されたい。

五 抜本的な改革について

 今、世界各地で難民問題が深刻化する中で、難民庇護の取組は国際社会共通の課題であり、我が国にとっても重要な責務である。現在の状況を打破し、真の難民を確実かつ積極的に庇護するために、現在の制度・運用の見直しを含めた抜本的な改革を推進することが必要だと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。